Vinyl Record Reviews
Odysseyは、1972年にモータウン傘下のMoWestレーベルから、セルフタイトルのアルバムを1枚だけ発表したアメリカのバンドだ。ジャンル表記にはRock、Pop、Folk、World、& Country、Funk / Soulが並び、実際の音はそのあたりをまたぐ内容になっている。
中心メンバーは、Royce Jones(リードヴォーカル)、Kathleen Warren(ピアノ、ヴィブラフォン、ヴォーカル)、Donnie Dacus(ギター)、Warner Schwebke(ベース)、C.L. Robert James(フルート)で、男女混声の歌と、ヴィブラフォンやフルートを前に出した編成が特徴になっている。
公表されている活動歴は多くないが、Odysseyは1972年にMoWestから唯一のアルバムを残している。シングル曲としては「Our Lives Are Shaped By What We Love」「Battened Ships」などが知られている。
録音には、Wrecking Crewのギタリストとして知られるDon Peakeや、アレンジャーのGene Pageも参加している。西海岸のセッション・ミュージシャンが加わったことで、演奏のまとまりやアレンジの細かさに目が向く作品になっている。
Odysseyのサウンドは、モータウン由来のファンキーなベースラインと、5th Dimensionを思わせるサンシャイン・ポップの要素が同居している。そこにヴィブラフォンやフルートが加わることで、普通のバンド編成とは少し違う音の色が出ている。
ファンクのリズム、フォーク・ロック寄りの歌の運び、ソウルの感触が同じ曲の中で交わる場面があり、当時のモータウン周辺の作品の中でも個性が見えやすい一枚として扱われている。やや幻想的な質感という見方もあるが、楽器編成とアレンジの組み合わせを見れば、その印象は理解しやすい。
ギタリストのDonnie Dacusは、このアルバムの後にChicagoへ加入し、1978年の『Hot Streets』に参加している。その作品は全米12位を記録し、プラチナ認定も受けている。さらに1982年には、Tom EvansやMike Gibbinsらとともに再結成期のBadfingerにも参加した。
Odyssey自体の作品数は少ないが、こうしたメンバーの経歴を見ると、バンドの周辺から後年のロック史につながる動きが出ていることが分かる。
Odysseyを聴くときは、まず男女混声のヴォーカルの重なりをチェックしたくなる。そこにピアノ、ヴィブラフォン、フルートが入るので、曲の中で音の層がはっきり分かれる。ファンキーなグルーヴを土台にしながらも、メロディの運びが軽く、ポップ寄りの耳ざわりも持っている。
MoWest期のモータウン作品らしい骨格を持ちながら、フォーク・ロックやサンシャイン・ポップの要素も混ざるので、70年代初頭のアメリカン・ポップスの交差点にあるバンドとして追うと面白い。