Odyssey - Odyssey (1972)
Odyssey 1972

Odyssey - Odyssey (1972)

Rock Pop Folk, World, & Country Funk / Soul Funk Folk Rock Soul Sunshine Pop

Odyssey『Odyssey』(1972)レビュー

1972年にUSのMoWestから出たOdysseyの唯一作は、モータウン周辺の作品群の中でも少し毛色の違うアルバムだ。西海岸のスタジオ感覚、ファンクやソウルのリズム、フォーク・ロック寄りの歌心、サンシャイン・ポップ的な軽さが同じ盤の中に並んでいて、ひとつの流れにきれいに収めるより、曲ごとの色合いをそのまま置いた作りになっている。

MoWestは、Motownがロサンゼルスに設けた西海岸志向のサブレーベルで、活動期間は1971年から1973年までと短い。その中でOdysseyは、1972年に1枚だけアルバムを残したグループとして知られる。人種混成の編成で、中心にいるのはリード・ボーカルのRoyce Jonesと、ピアノ/ヴィブラフォンを担うKathleen Warren。ここにフルートのC.L. Robert James、ギターのDonnie Dacus、さらにDon Peakeも加わる。メンバーの顔ぶれだけでも、当時のロサンゼルス周辺で起きていたセッション文化とポップ・ソウルの交差が見えてくる。

曲ごとに表情が変わる構成

このアルバムの特徴は、ファンクのグルーヴを土台にしながら、曲ごとに手触りがかなり違うところにある。ヴィブラフォンとフルートが前に出る場面では、音の輪郭がはっきりしつつも、少し浮遊するような響きが残る。そこにソウルの推進力が乗り、単なる洒落たポップで終わらない。アレンジはGene Pageが担当していて、ストリングスやホーンを過不足なく置く仕事ぶりが全体を支えている。

なかでも「Battened Ships」は、ラテン風味のミッドテンポ曲として印象に残る。Royce Jonesのリード・ボーカルが前に出て、リズムの跳ね方とメロディの運びがきれいにかみ合う。アルバム全体を見ても、こうした一曲ごとの性格の違いがはっきりしていて、同じバンドの作品でも場面転換が多い。

MoWestらしい一枚

MoWestの作品は、Motown本体のソウル・サウンドとは少し距離があり、西海岸の空気や当時のクロスオーバー感覚が強いものが多い。このOdysseyもその流れの中にある。ソウル・レアグルーヴの文脈で語られることがあるのは、演奏の密度とアレンジの精度が高く、しかも黒人音楽の枠だけに閉じない広がりを持っているからだろう。フォーク・ロック、ファンク、ポップの要素が同居し、ジャンルの境目をそのまま残したような作りになっている。

一方で、当時の受け止め方としては、曲調の振れ幅が大きく、一貫したグルーヴをつかみにくい面もあったようだ。ただ、そのまとまりのなさに見える部分も、今聴くと西海岸のスタジオ盤らしい自由さとして残る。演奏の水準は安定していて、特にヴィブラフォンやフルートの使い方は、同時代のソウル盤の中でも少し目を引く。

メンバーのその後も含めて

この作品の面白さは、ここで集まった人材のその後にもつながる。Donnie DacusはのちにChicagoへ加入し、Royce JonesはSteely DanやAmbrosiaでも活動する。そうした経歴を踏まえると、Odysseyは単発のアルバムでありながら、70年代のロック、ポップ、ソウルの接点にいたミュージシャンたちが交わった記録としても読める。結果的にグループはこの1作で終わるが、その短さがかえって作品の輪郭をはっきりさせている。

盤の扱いについて

ここでのオリジナルは1972年のUS盤で、RCAのDynaflexプレスが使われている。近年は再発も出ていて、コレクターの間ではMoWest期の再評価とあわせて注目が続いている。オリジナル盤は、その時代のMoWestの空気をまとったまま残る一枚として、レーベル史の中でも位置づけがはっきりした作品だ。

Odyssey『Odyssey』は、派手な代表曲だけで押し切るアルバムではない。だが、アレンジ、演奏、曲調の切り替え方まで含めて、1972年の西海岸ソウル/ポップの断面がそのまま封じ込められている。MoWestという短命レーベルの中でも、記憶に残る一枚として扱われてきた理由はそこにある。

トラックリスト

  1. A1 Home Of The Brave 3:31
  2. A2 Georgia Song 3:24
  3. A3 Country Tune 2:46
  4. A4 Gossamer Wings 3:00
  5. A5 Our Lives Are Shaped By What We Love 3:36
  6. B1 Wondrous Castles 3:06
  7. B2 Battened Ships 2:59
  8. B3 Sunny California Wo-Man 3:33
  9. B4 Black Top Island (Of The West) 3:28
  10. B5 Broken Road 2:44

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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