Vinyl Record Reviews
Paatosは、スウェーデン・ストックホルムで2000年に結成されたプログレッシブ・ロック・バンドだ。結成時の中心は、ギタリストのReine Fiske、ベーシストのStefan Dimle、ドラマーのRicard “Huxflux” Nettermalm、Johan Wallen、Petronella Nettermalmの5人だった。
バンド名の「Paatos」は、フィンランド語で「パトス(情念、悲哀)」を意味する語に由来する。名前の由来からも、楽曲の雰囲気や表現の方向性がうかがえる。
Paatosのメンバーには、スウェーデンのプログレッシブ・ロック・バンドLandberkの元メンバーが含まれている。Reine FiskeとStefan Dimleがその中心にいて、そこから新しいプロジェクトとして動き始めたのがPaatosだった。
Reine Fiskeはその後、サイケデリック・ロック・バンドDungenの中心メンバーとしても知られるようになる。Paatosの出発点には、Landberkでの経験がそのまま引き継がれている面がある。
バンドは2000年の結成後、アルバムを通じて活動を続けてきた。とくに2004年に発表された2作目『Kallocain』は、Porcupine TreeのSteven Wilsonがプロデュースを担当したことで注目を集めた。
『Kallocain』のタイトルは、スウェーデンの作家Karin Boyeによる1940年の小説『Kallocain』に由来する。この作品は、全体主義社会と「自白剤」をめぐるディストピア小説で、作品名の持つ冷たい印象が、Paatosの音楽の持つ陰のある叙情と重ねて語られることがある。
プロフィール情報では、現在のラインナップは次の通りだ。
結成時から続くRicard NettermalmとPetronella Nettermalmに、後年Peter NylanderとUlf Ivarssonが加わる形で編成が固まっている。
Paatosはプログレッシブ・ロックを基盤にしたバンドとして紹介されることが多い。楽曲では、ロックのバンド編成を使いながら、曲展開や音色の使い方にプログレらしい組み立てが見られる。
Petronella Nettermalmのボーカルとチェロが入る点も、バンドの特徴として挙げやすい。ギター、ベース、ドラムに加えてチェロが入ることで、一般的なロックバンドとは少し違う音の重なりが出てくる。
また、『Kallocain』のように文学作品を題材にしたアルバムを持つことからも、Paatosは曲単位の勢いだけで進むバンドというより、テーマや構成を意識した作り方をしている印象がある。
公式サイトのほか、AllMusic、ProgArchives、Bandcamp、Spotify、YouTube、Facebook、SoundCloudなどで情報や音源を確認できる。活動の流れや作品を追うなら、公式サイトとディスコグラフィ関連のページを見比べると整理しやすい。
Paatosは、Landberkの流れを引き継いだメンバー構成から始まり、文学作品を参照したアルバムや、チェロを含む編成で独自の形を作ってきたバンドだ。プログレッシブ・ロックの文脈で見ると、出自と作品テーマの両方に、はっきりした筋が通っている。