Vinyl Record Reviews
Patrice Rushenは、1954年9月30日にロサンゼルスで生まれたアメリカのR&B/ディスコ/ジャズ系アーティストです。ボーカリスト、作曲家、クラシック教育を受けたピアニスト、キーボーディスト、プロデューサー、音楽監督、教育者として活動してきました。ピアノだけでなく、フルート、クラリネット、各種パーカッションも演奏します。
10代のころから活動を始めていて、17歳のときにバンドで出場したコンテストをきっかけにモントレー・ジャズ・フェスティバルへの出演権を獲得しました。その後、1973年にPrestige Recordsと契約しています。Prestigeでは3枚のアルバムを発表し、同時期にはJean-Luc Pontyなどのセッションにも参加し、現場での需要を広げていきました。
Rushenの音楽は、R&B、ジャズ、ファンクを組み合わせた作りが特徴です。クラシック・ピアノの訓練を土台にしながら、ソウル、ディスコ、ファンクの要素を取り込んでいて、演奏と作曲の両方で細かい構成が目立ちます。ジャンル表記としてはFunk / Soul、スタイルとしてはFunk、Soul、Discoに分類されています。
1978年にはElektra Recordsへ移籍し、そこで独自の立ち位置を固めていきます。1982年のヒット曲「Forget Me Nots」は特に知られていて、後にWill Smithの「Men in Black」やGeorge Michael、Kirk Franklinらにサンプリングされました。原曲が後年のヒップホップやR&Bの文脈でも使われたことで、Rushenの楽曲が世代をまたいで参照されていることがわかります。
Rushenは演奏家としてだけでなく、作曲、プロデュース、映画やテレビのスコア制作も手がけています。グラミー賞には4度ノミネートされていて、音楽制作の幅広さがそのまま活動歴に反映されています。
音楽監督としても実績が多く、グラミー賞授賞式の音楽監督を第46回、第47回、第48回と務めました。さらに、エミー賞では43年ぶりに女性としてヘッド・コンポーザー/音楽監督に起用され、NAACPイメージ・アワードでは12年連続を含む形で音楽監督を担当しています。こうした経歴から、演奏家としてだけでなく、番組全体の音楽設計を任される立場でも活動してきたことが見えてきます。
教育の分野でも活動していて、2005年にはバークリー音楽大学から名誉博士号を授与されています。2013年から2023年まではUSCソーントン・スクールのポピュラー音楽プログラム議長を務め、後進の育成にも関わってきました。現場の演奏、制作、教育を並行して続けてきた人物です。