Vinyl Record Reviews
Peter Richardは、プロデューサー/ヴォーカリストのWalter Beinatが1979年に最初に名乗ったエイリアスだ。イタロ・ディスコの黎明期から80年代にかけて活動していたことが確認できる。
Peter Richard名義で知られる楽曲の中でも、代表曲として挙げられるのが「Walking In The Neon」だ。この曲はイタリアのレーベルGood Vibesからマキシシングルとしてリリースされた。制作には、'Lectric Workers、Decadance、Expansives、Wanexaなどのプロジェクトで知られるプロデューサー・デュオ、Gigi FarinaとFranco Ragoが参加している。
さらに、作詞にはイタリアのディスコ・グループPassengersのメンバーChuck Rolandoが協力し、アレンジはイタリアン・ディスコの先駆者として知られるCelso Valliが手がけている。制作陣を見るだけでも、当時のイタリアのディスコ・シーンとのつながりがはっきりしている。
「Walking In The Neon」は7分近い長尺のトラックで、Patrick Cowleyを思わせる疾走感のあるドラムとベース、シンセサイザーを軸にしている。そこにHi-NRG、ポストパンク、ポストディスコの要素が組み合わさっていて、イタロ・ディスコの中でもかなり攻めた作りになっている。
Peter Richardの作品は、メロディだけで押すタイプというより、リズムとシンセの推進力で引っ張る構成が目立つ。80年代初期のダンス・ミュージックの流れと接続しながら、イタリア産ディスコの文脈に置かれているのが特徴だ。
Peter Richardは「Walking In The Neon」以外にも、「Strange Desires」(Kanoとの共作)、「For You for Only You」、「Talk About Me」といったシングルを残している。
これらの楽曲は後年、複数のイタロ・ディスコ再発コンピレーションに収録されている。こうした再発を通じて、カルト的な人気とともに再評価が進んでいる状況が確認できる。
Peter Richardの名前は、イタロ・ディスコの初期から80年代にかけての制作現場と結びついている。Walter Beinatの別名義として始まり、Gigi Farina、Franco Rago、Chuck Rolando、Celso Valliといった制作者たちと関わりながら、当時のイタリアン・ダンス・ミュージックの流れの中で作品を残した。
今あらためて聴くと、シングル単位での完成度と、制作陣の顔ぶれがそのまま時代性を示しているのが分かる。イタロ・ディスコを掘るときに、Peter Richardは外せない名前のひとつだ。