Vinyl Record Reviews
Ph.D.は、イギリスのポップ・グループだ。中心メンバーはヴォーカルのJim Diamondと、元Jeff Beck Groupの鍵盤奏者Tony Hymasで、結成は1980年とされている。バンド名は、初期レコーディングに参加した3人の姓の頭文字、Phillips、Hymas、Diamondに由来する。
公式表記やアルバム・クレジットでは、主にDiamondとHymasの2人組として扱われている。ドラムのSimon Phillipsはセッション奏者として参加していた。
活動期間は1981年から1983年までが最初の時期で、その後しばらく活動を止めている。2006年11月にはDiamondとHymasが再びスタジオで合流し、新作アルバム制作のために活動を再開した。活動の区切りがはっきりしているグループだ。
ジャンルはRockとPop、スタイルはNew Waveに分類されている。楽曲制作では、基本的にDiamondが作詞、Hymasが作曲を担当していた。役割分担が明確なユニット型の制作体制で進んでいたことがうかがえる。
サウンド面では、80年代初頭の英国ポップらしい構成の中に、鍵盤主体のアレンジが入るのがPh.D.の特徴として挙げやすい。バンド編成というより、Diamondの歌とHymasの作り込んだ楽曲を軸にしたプロジェクトに近い印象がある。
1982年に出したシングル「I Won't Let You Down」は、Ph.D.を語るうえで外せない曲だ。UKチャートで最高3位を記録し、同年の英国年間セールスランキングでも23位に入った。かなり目立ったヒットだった。
この曲はイギリスだけでなく、ベルギーとオランダで1位、イタリアとスイスで2位、アイルランドで3位、オーストラリアで5位を記録している。ヨーロッパを中心に広く受け入れられたことがわかる。
Ph.D.は、短い活動期間の中で「I Won't Let You Down」を残し、80年代英国ポップの中で名前を知られる存在になった。Jim DiamondとTony Hymasの分業体制、そしてSimon Phillipsを含む初期の録音形態まで含めて見ると、バンドというより制作ユニットとしての性格がはっきりしている。