Vinyl Record Reviews
Portisheadは、1991年にイングランドのブリストルで結成されたバンドだ。メンバーはGeoff Barrow、Beth Gibbons、Adrian Utleyの3人で、初期作品ではエンジニアのDave McDonaldが制作面で関わっている。ライヴではDJ Andy Smithが参加していた時期もある。
バンド名は、ブリストルの西、海沿いにある同名の町に由来する。ジャンルはElectronic、スタイルはTrip Hopとして整理されることが多い。
Portisheadは、1994年にデビュー・アルバム『Dummy』を発表した。この作品は高い評価を受け、翌1995年にマーキュリー賞を受賞している。続いて1997年に『Portishead』、2008年に『Third』をリリースした。スタジオ・アルバムはこの3作が確認できる。
結成のきっかけとしては、短編映画「To Kill a Dead Man」が挙げられる。Geoff Barrowが手掛けたテーマ曲がレコード契約につながり、その映像の一部は『Dummy』のジャケットにも使われている。
『Dummy』は、トリップホップを広く知られる存在にした作品として扱われることが多い。ここで特徴的なのが、サンプリングのやり方だ。既製のレコードから音をそのまま拾うのではなく、自分たちで演奏したフレーズをいったんアナログ盤にカッティングし、それをターンテーブルで再びサンプリングする方法を取っていた。
この工程によって、ヴィンテージなヒスノイズやレコード特有の質感を、自作の音源に加えている。ブリストルのState of ArtやCoach Houseのスタジオでは、テープ・サチュレーション、強めのエフェクト処理、レコードノイズの重ね掛けなども行われていた。
Portisheadの音は、サンプリング、テープ処理、ノイズの扱いがかなり重要だ。素材の選び方よりも、加工の手順そのものがサウンドの輪郭を作っている。生演奏とアナログ機材の組み合わせが前に出ていて、電子音楽の枠内でも制作過程が見えやすいバンドだ。
トリップホップという名前と結びつけて語られることが多いが、実際には単純なビート主体の音だけではなく、録音方法や質感の作り方にバンドの個性が出ている。Beth Gibbonsの歌、Geoff Barrowの制作、Adrian Utleyの演奏が、その土台になっている。
Portisheadは、トリップホップの代表的な存在として扱われることが多い。特に『Dummy』は、このジャンルの輪郭を一般のリスナーに広げた作品として参照されやすい。アナログ盤を使った再サンプリングや、ノイズを含めた音作りは、制作面でも注目されてきた。
バンドの作品は、アルバム単位で語られることが多く、各作品で制作の手触りがはっきり残っている。活動期間は長くない時期もあるが、3枚のスタジオ・アルバムだけでも存在感は十分に大きい。