Vinyl Record Reviews
Praxisは、1985年にメキシコシティで結成されたメキシコのプログレッシブ・ロック・バンドだ。中心になったのはベースのBernardo AnayaとギターのHéctor Hernándezで、その後すぐにキーボードのRicardo Morenoとドラム/パーカッションのHéctor Rosasが加わり、4人編成になった。
Praxisの作品として知られているのは、1987年にインディーズ・レーベルRosembachから発表された唯一のアルバム『La Eternidad de lo Efímero(束の間の永遠)』だ。全5曲入りで、収録曲の大半はRicardo Morenoの作曲によるものとされている。
発表当時は大手レーベルの支援を受けておらず、広い流通に乗ったタイプの作品ではなかったが、口コミで支持を集めた。のちに1980年代メキシコ・プログレッシブ・ロックの重要作として扱われるようになっている。
アルバム発表後、バンドは比較的早い段階で解散した。その後、MorenoとHernándezはメキシコ・プログレの重要バンドIconoclastaに参加し、活動を続けた。1990年代にはイタリアのレーベルからCD再発も行われている。
Praxisのサウンドは、同時代のメキシコのプログレ作品の中でも、より攻撃的でエレクトリックな方向に寄っていたとされる。ギターとキーボードの技巧的な掛け合いに加えて、リズムセクションが細かく動く構成が目立つ。
ジャンル表記ではRock、Jazz、スタイルではProg Rock、Fusionに分類されている。実際の音作りでも、プログレッシブ・ロックの長い展開や、フュージョン寄りの演奏感が前面に出ている。
影響源としては、YESやEmerson, Lake & Palmerの存在が大きい。Praxisでは、その系譜にあるキーボード主体の展開や、演奏の切り返しがはっきり確認できる。
ただし、単に影響をなぞるだけではなく、メキシコのローカルなプログレ・シーンの中で、より硬質なアプローチを試したバンドとして見られている。『La Eternidad de lo Efímero』が現在でも再評価されているのは、その点が理由のひとつになっている。
Praxisを追うなら、まずは唯一のアルバム『La Eternidad de lo Efímero(束の間の永遠)』から入るのが自然だ。5曲という少ない曲数の中で、ギターとキーボードのやり取り、リズムの動き、YESやELP由来の要素がまとまっている。
短命だったバンドではあるが、80年代メキシコ・プログレの文脈ではきちんと名前が残っている。再発盤を通じて今も聴けるのは、このバンドの記録が一定の評価を受けてきたからだ。