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RAH Bandは、リチャード・A・ヒューソンを中心に1976年に始動したイギリスのスタジオ・プロジェクトだ。名前はヒューソンのイニシャルに由来する。編成は作品ごとに流動的だが、プロフィール上ではRichard Hewson、Ray Warleigh、Barry De Souza、Liz Hewsonの名前が挙がっている。
ヒューソンは1960年代後半から編曲家、指揮者、マルチ・インストゥルメンタリストとして活動していた人物で、RAH Band以前から多くの録音に関わってきた。音楽学校卒業後、ポール・マッカートニーの指示でメリー・ホプキン「Those Were the Days」の編曲を担当し、その後もホプキンのデビュー作『Post Card』、ジェームス・テイラーのApple期の作品、ビートルズ『Let It Be』収録曲「The Long and Winding Road」「I Me Mine」のオーケストラ編曲などを手がけている。ほかにもビー・ジーズ、ハービー・ハンコック、カーリー・サイモン、アート・ガーファンクル、フリートウッド・マックなどの作品に関わっている。
RAH Band名義での最初の動きは1976年。ヒューソン自身が作曲、演奏、プロデュースを担う形で作品を発表し始めた。1977年のインストゥルメンタル曲「The Crunch」は、UKチャートでトップ10入りしている。
その後、1980年の「Falcon」がUKトップ40に入り、以降はダンス系のヒットを重ねていく。1985年の「Clouds Across the Moon」は、妻のリズ・ヒューソンがヴォーカルを担当し、スポークンワードのパートも入った楽曲で、UK6位を記録した。これがRAH Bandにとって2曲目のトップ10ヒットになっている。
RAH Bandはこれまでに通算7曲のUKヒットを記録している。活動の中ではDJM Records、KR、TMT Records、S.O.U.N.D. Recordings、RCA、Supreme Recordsなど、複数のレーベルから作品を出してきた。
1980年代には、RAH Bandの活動と並行して、トーヤ・ウィルコックス、ファイヴ・スター、シェイキン・スティーヴンスらのプロデュースも行っている。
RAH BandのジャンルはElectronicとFunk / Soul、スタイルはSynth-popとDiscoに分類されている。実際の音作りでも、シンセサイザーを使ったメロディ、ダンス・ビート、ファンク寄りのリズムが目立つ。
初期の代表曲「The Crunch」はインストゥルメンタルで、メロディとアレンジの組み立てが前面に出た曲だ。1980年代に入ると、よりダンス・フロア向けの方向へ進み、「Falcon」や「Clouds Across the Moon」のように、リズム主体の構成とキャッチーなフレーズを組み合わせた作品が増えていく。
特に「Clouds Across the Moon」は、宇宙や通信を思わせる設定の歌詞と、リズ・ヒューソンのヴォーカル、機械的な語りのパートが組み合わさっていて、RAH Bandの作品の中でも特徴がはっきりした1曲として知られている。
RAH Bandを理解するうえでは、リチャード・A・ヒューソンの編曲家としての経歴が大きい。彼はポップス、ロック、ソウルの現場で長く仕事をしてきた人で、オーケストラ編曲やストリングスの扱いに強みがある。
その経験がRAH Bandでは、単なるディスコ・プロジェクトにとどまらない作り込みにつながっている。シンセ中心の曲でも、メロディの流れや音の配置に整理された印象があり、これはヒューソンの編曲家としての背景と結びついて見える。