RAH Band - Going Up (1983)
RAH Band 1983

RAH Band - Going Up (1983)

Electronic Funk / Soul Synth-pop Disco

RAH Band『Going Up』について

RAH Bandは、Richard Hewsonを中心に動くイギリスのスタジオ・プロジェクトで、70年代後半から80年代にかけてディスコ、シンセポップ、ソウルのあいだを行き来する作品を残してきた。本作『Going Up』は1983年のUK盤で、同年のオリジナル作品として位置づけられる1枚。TMT Recordsからのリリースで、レーベルの性格も含めて、当時のUKダンス・ミュージックの空気をそのまま映したような内容になっている。

RAH Bandは、単なる匿名的なスタジオ・ユニットというより、Richard A. Hewsonの作編曲感覚が前面に出るプロジェクトとして知られる。彼は60年代末から編曲家、指揮者、マルチ奏者として活動しており、その経験がRAH Bandの楽曲にもはっきり反映されている。『Going Up』も、打ち込みの骨格と生演奏の質感が同居する、いかにもこのユニットらしい作り。シングル曲中心の派手さよりも、曲の運びや音の配置に耳が向くタイプの作品だ。

作品の位置づけ

RAH Bandは1977年の「The Crunch」でUK Top 10入りし、1980年の「Falcon」でもチャート実績を残している。そうした流れの中で出た『Going Up』は、バンドのダンス寄りの持ち味を80年代前半の音に寄せて整理した時期の作品と見られる。ディスコの残り香を残しつつ、シンセの比重が増した時代の空気があり、同時代の英国のダンス・ポップやソウルの流れの中で聴ける一枚でもある。

RAH Bandの魅力は、派手な歌唱力や大仰な演出ではなく、リズムの置き方とメロディの運びにある。本作でもその傾向は変わらず、ビートはきっちり前へ進みながら、上モノは軽く浮いたような感触を残す。ファンク寄りの推進力と、シンセポップ的な明快さが同じ曲の中で並走する感じ。UKのディスコ・レーベルTMTから出ていることも含め、当時のクラブ・シーンを意識した作りとして受け取れそうだ。

注目曲として聴きたいポイント

作品全体を通してまず目を引くのは、リズムの輪郭のはっきりしたトラック作り。ベースとドラムが前に出る場面ではファンクの感触が強く、そこにシンセのフレーズが重なると、80年代初頭のダンス・ミュージックらしい軽やかさが出てくる。RAH Bandは、音数を増やして盛り上げるというより、少ない要素を整理して配置する方向に強みがある印象で、『Going Up』でもその設計のうまさが聴きどころになっている。

また、Richard Hewsonの編曲家としての背景を考えると、単純なディスコ作品で終わらないのもこの時期のRAH Bandらしいところ。ホーンや鍵盤、ギターの入り方にしても、リズムに乗せるだけでなく、曲のフレーズがどう流れていくかを見せる組み立てになっている。実際に聴くと、踊るための音でありながら、耳で追うための細部も多い。そうした二重の性格が、アルバム全体の印象を決めている。

ヒット曲とのつながり

RAH Bandを語るうえでは、後年の「Clouds Across the Moon」や、80年代前半のヒット群がよく知られているが、『Going Up』はその流れの途中にある作品として見ておきたい。バンドの名前が広く知られる前後をつなぐ時期で、シングルでの成功だけでは見えにくい、プロジェクト全体の音作りが確認できる。ヒット曲の華やかさに比べると地味に聞こえる場面もあるが、そのぶん制作の手触りが見えやすい盤でもある。

特にRAH Bandは、同時代の英国ダンス・ポップやソウル・ポップの文脈で語られることが多い。華美なアメリカ産ディスコとは少し違い、整ったアレンジ、やや乾いた質感、シンセの明瞭さが前に出る。その感触は、同時代の英国のスタジオ・プロジェクトや、クラブ向けのポップ・ソウルを追っていくと見えてくるもので、『Going Up』もその一角に置ける内容だと言えそうだ。

まとめ

『Going Up』は、RAH Bandの持つダンス志向と、Richard Hewsonの作編曲感覚が素直に出た1983年作。UKのディスコ・レーベルから出たことで、時代の空気もはっきり刻まれている。大きな話題作というより、RAH Bandの音の設計を確認できる一枚として、グループの流れの中で見ると輪郭がつかみやすい。シンセポップとディスコ、ファンクの境目を軽やかに行き来する、そのあたりが本作の要点になっている。

トラックリスト

  1. A1 Messages From The Stars
  2. A2 Roll Me Down To Rio
  3. A3 Perfumed Garden (With Scented Strings)
  4. A4 Hunger For Your Jungle Love '83
  5. A5 Sam The Samba Man
  6. B1 Winter Love
  7. B2 Tears & Rain
  8. B3 Two Bodies
  9. B4 Party Games
  10. B5 Riding On A Fantasy

動画

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