Vinyl Record Reviews
Rev. Gary Davisは、アフリカ系アメリカ人のブルース/ゴスペル歌手でギタリストだ。1896年4月30日にサウスカロライナ州ローランズ郡で生まれ、1972年5月5日にニュージャージー州ハモントンで亡くなっている。ブルースの文脈では「Blind Gary Davis」として知られる初期録音もあり、のちに聖職者となってからは「Rev.」の名で活動した。
デイヴィスは幼いころに視力を失い、独学でギターを身につけた。ニューヨーク、とくにハーレム周辺では路上演奏でも知られ、街角で演奏する姿がよく知られた存在だったようだ。1930年代には、Blind Boy FullerやBull City Redの録音でセカンド・ギターを務めることもあった。
後年は信仰を深め、レヴァレンドとして活動するようになる。そのため、聖職者になってからはブルースの録音は多くない。ブルースとゴスペルの両方にまたがる経歴を持ちながら、活動の重心は時期によって変わっていった。
デイヴィスの演奏でまず挙がるのが、親指と人差し指だけを使う独自のギター・スタイルだ。いわゆるカントリー・ピッキングの精度が高く、ラグタイム、トラディショナル・ソング、ブルース、自作曲を、四声のハーモニーを思わせる形で弾き分けたとされている。
単なる伴奏ではなく、ギター1本で複数の声部を組み立てるような演奏をしていた点が特徴だ。リズム、低音、メロディ、装飾が分かれた形で進むため、フィンガーピッキング系のギタリストが参照しやすいレパートリーと奏法を残している。
レパートリーとしては「Cocaine Blues」「Candy Man」「Hesitation Blues」「Samson And Delilah」などが知られている。これらの曲は、ボブ・ディラン、デイヴ・ヴァン・ロンク、タウンズ・ヴァン・ザント、キース・リチャーズ、ジャクソン・ブラウンといったミュージシャンにもカヴァーされてきた。
とくに「Cocaine Blues」は、1960年代のフィンガーピッキング・ブルース奏者やフォーク/ロックの演奏者たちに強く受け止められた曲として扱われている。デイヴィスの曲がジャンルをまたいで演奏され続けている点は、彼のレパートリーの広さを示している。
デイヴィスは演奏者としてだけでなく、直接教えた相手を通じても影響を広げた。ニューヨークではジョーマ・カウコネン、スティーフォン・グロスマン、ロイ・ブックバインダー、ボブ・ウィアーらが教え子として知られている。こうしたつながりを通じて、彼のスタイルは1960年代のフォーク/ロック・シーンにも入っていった。
影響を受けたミュージシャンとしては、ボブ・ディラン、タジ・マハール、ドノヴァン、ジョーマ・カウコネン、ライ・クーダー、デイヴィッド・ブロムバーグ、ウィズ・ジョーンズ、Blind Boy Fullerなどが挙げられている。ブルースの枠内だけでなく、フォークやロックの演奏家にも参照されてきたことがわかる。