Vinyl Record Reviews
Rheingoldは、ドイツのニュー・ウェイヴ・グループだ。メンバーはロタール・マントイフェル、ボード・シュタイガー、ブリギッテ・クンツェの3人で、編成としてはボーカル、ギター、作詞、キーボードを軸にしたグループだった。
バンド名は、ワーグナーのオペラ「ラインの黄金」から取られている。ボード・シュタイガーは、それ以前にマリウス・ミュラー=ヴェスターンハーゲンとロックンロール・バンドで共演し、さらに「Sinus」では後にクラフトワークで活動するカール・バルトスと一緒に演奏していた。こうしたデュッセルドルフ周辺の音楽環境が、Rheingold結成の背景にある。
Rheingoldは1980年に結成され、同年に1枚目のLPをWeltrekordから発表した。この作品ではロタール・マントイフェルが楽曲を担当し、ブリギッテ・クンツェも一部で歌っている。
バンドの代表曲としてよく挙がるのが「Dreiklangsdimensionen」だ。1981年10月にシングルとして出され、西ドイツのシングルチャートで17位を記録した。NDW関連の楽曲としては、トップ20に入った初期の例として扱われることが多い。
その後も「Fluß」「Fan Fan Fanatisch」といったシングルを発表し、1980年から1984年にかけて計3枚のLPを残している。2枚目のアルバム「R」は1982年に出ており、「Fan Fan Fanatisch」が収録された。
Rheingoldの音楽は、ElectronicとRockを土台にしながら、New WaveやNDWの流れに強く結びついている。デュッセルドルフの電子音楽シーンの影響を受けつつ、シンセサイザー主体の曲作りだけに寄らず、ギターや歌も前に出していた。
また、彼らの楽曲は映画との接点も持っている。「Fan Fan Fanatisch」は、ボード・シュタイガーが主演した1982年の映画『Der Fan』のサウンドトラックにも使われた。Rheingoldの音楽が、当時のNDWの中で映像作品とも近いところにあったことがわかる。
Rheingoldはイギリスやアメリカ向けに英語版の楽曲も出している。ただ、狙ったほどの成果にはつながらなかったようだ。最後のアルバムでも大きな広がりは得られず、バンドは解散した。その後、Rheingold名義での新作は出ていない。
解散後、ロタール・マントイフェルは元クラフトワークのカール・バルトスと組んで別プロジェクトを立ち上げた。ボード・シュタイガーは1988年にRheinklangスタジオを設立し、制作やプロデュースの仕事へ軸足を移している。
Rheingoldを語るとき、デュッセルドルフの音楽シーンとの近さは外せない。ボード・シュタイガー自身がクラフトワーク周辺の人脈と接点を持っていて、のちの活動にもその流れが見える。2007年には、クラフトワーク、フェールファルベン、ラ・デュッセルドルフなど同郷の電子音楽勢のカバーを収めた『Electric City (Düsseldorfer Schule)』をオリジナル・メンバーで発表している。
この作品は、RheingoldがNDWの一組としてだけでなく、デュッセルドルフの電子音楽史の中に位置づけられていることを示すものとして受け取れる。
ボード・シュタイガーは2019年12月に死去している。Rheingoldは、NDWの初期にヒットを出し、デュッセルドルフの電子音楽シーンともつながりを持ったバンドとして記録されている。