Vinyl Record Reviews
Rideは、1988年にオックスフォードで結成されたイングランドのロック・バンドだ。メンバーはMark Gardener、Andy Bell、Steve Queralt、Loz Colbert。ジャンルとしてはロックに分類されるが、実際にはインディー・ロックとシューゲイザーの文脈で語られることが多い。
Mark GardenerとAndy Bellはオックスフォードの中学・高校の同級生で、その後そろってバンベリーの美術系カレッジに進学した。そこでBellの元バンド仲間だったSteve Queralt、同じカレッジに通っていたLoz Colbertを誘い、Rideが始まる。
Queraltのベッドルームとホールで録音したデモには「Chelsea Girl」「Drive Blind」が入っていた。このデモがDJのGary Crowleyを通じてThe Jesus And Mary ChainのJim Reidの耳に入り、そこから当時Creation Recordsを率いていたAlan McGeeの関心につながった。1989年にはThe Soup Dragonsのサポートを務め、その後Creation Recordsと契約している。
Rideの初期作品は、My Bloody Valentineに通じる強いディストーションを使いながら、メロディはより直接的で分かりやすい作りになっている。大きな音のギターが重なり、音が揺れるように聞こえる構成が特徴で、当時の英国メディアは、演奏中にメンバーが足元のエフェクターを見つめる様子からこの流れを「shoegazing」と呼んだ。
Rideはシューゲイザーの代表的なバンドとして扱われることが多いが、単に音が厚いだけではなく、曲の進行やフックが比較的はっきりしている点で、同時代のバンドと少し違う印象を残している。
1992年の『Going Blank Again』の後、バンドはシューゲイザー寄りの要素を弱めていく。1994年の『Carnival Of Light』では、1960年代から70年代のバンドを思わせる要素が前面に出た。ここでは初期の音像とは違う方向に進んでいて、バンドの中での制作意識の変化が見える。
ただ、この作品は批評面でもファンの反応でも強い支持を得たわけではなかった。その後、同じくレトロ/クラシック・ロック寄りの『Tarantula』を1996年に発表している。
『Tarantula』は制作途中でMark Gardenerがバンドを離脱するという状況の中で完成した。先行シングル「Black Nite Crash」はMelody Maker誌の「Single of the Week」に選ばれている。一方で、アルバム本体は発売から1週間ほどで店頭回収されるという、かなり異例の経緯をたどった。
その後、バンドは方向性やソングライティング、リーダーシップをめぐる対立を背景に解散する。
それから約20年後、Rideは再結成された。再結成後は関係も比較的円満な形で続いており、その後に発表した3枚のフルアルバムは、初期の流れに戻った作品として受け止められている。シューゲイザー期の印象と、再結成後の制作が並んで語られることも多い。
解散後のAndy Bellは、Oasisと関わりのあるHurricane #1を結成し、その後スウェーデン移住を経てOasisにベーシストとして加入した。さらにBeady Eyeの正式メンバーにもなっている。こうした経歴からも、Rideが90年代以降の英国ロックの流れの中で一定の接点を持っていたことが分かる。
Rideは、オックスフォードで始まり、Creation Recordsと結びつき、シューゲイザーの代表格として名前が残ったバンドだ。音の厚みだけでなく、メロディの作り方やアルバムごとの方向転換にも注目すると、活動の流れが追いやすい。