Vinyl Record Reviews
Romanthonyは、ニュージャージー州ロングブランチ生まれのハウス・プロデューサー、Anthony Wayne Mooreの名義として知られている。Electronic、Blues、Funk / Soulの要素をまたぎつつ、主にディープハウスやガレージハウスの文脈で活動したアーティストだ。ヴォーカルはPrinceに似ていると紹介されることが多く、実際にソウル寄りの歌唱とハウスのビートを結びつけた作品で注目を集めた。
Romanthonyは1991年、自身のレーベルBlack Male Recordsを立ち上げ、そこで「Now You Want Me」を発表してキャリアを始めた。以後は別名義も使いながら作品を出していく。1995年にはWorld Recordsを設立し、2004年にはDigiTalentも立ち上げた。制作だけでなく、レーベル運営も含めて自分の活動の場を作っていた点が特徴的だ。
ウェブ上の情報では、Romanthonyの音楽はソウルフルなヴォーカルと深いベースラインを軸にしたディープハウス/ガレージのスタイルとして語られている。Electric Blues、Contemporary R&B、House、Garage Houseといったタグが並ぶ通り、クラブ向けの4つ打ちの中に、歌ものとしての強さが入っている。
代表曲としては、1993年の「The Wanderer」、「Bring U Up」、そしてThomas BangalterのRoulé Recordsから出た「Hold On」(1999年)などが挙げられる。デビューアルバムは『Romanworld』で、Azuli Recordsから発表された。
Romanthonyを語るうえで外せないのが、Daft Punkとの仕事だ。2000年の「One More Time」ではヴォーカルと共作を担当し、Thomas Bangalter、Guy-Manuel de Homem-Christoとともにソングライターとしてクレジットされている。この曲はオートチューン処理されたヴォーカルが印象的で、フランスで1位、英国で2位を記録した大ヒットになった。
さらに『Discovery』収録の「Too Long」でもヴォーカルと共作で参加している。また、Daft Punkのデビュー作『Homework』の「Teachers」では名前が言及されていた。
Romanthonyはクラブシーンの中だけで完結する存在ではなく、ハウスのプロデューサーとしての仕事と、ヴォーカリストとしての役割を行き来していた。ブラック・ミュージック由来の歌い回しをハウスに持ち込んだ人物として見られることが多く、ニュージャージーのガレージハウス文化の中で存在感を強めていった。
Romanthonyは2013年5月7日、テキサス州オースティンの自宅で死去した。45歳だった。家族は腎臓疾患の合併症によるものだと明らかにしている。