Vinyl Record Reviews
Roy Ayers Ubiquityは、1970年代初頭にロイ・エアーズが立ち上げた自身のバンドだ。バンド名の「Ubiquity」は、「同時にあらゆる場所に存在する状態」を意味する言葉から取られている。
音楽性はFunk / Soulを土台にしたJazz-Funkで、ロイ・エアーズのヴァイブを軸に、ファンクのリズムとジャズの演奏感を組み合わせたサウンドを展開した。メンバーにはJames Mason、Bernard Purdie、Edwin Birdsong、Philip Woo、Justo Almario、Ricky Lawson、William Allen、Byron Millerらが名を連ねている。
ロイ・エアーズは1966年からフルート奏者ハービー・マンのバンドに参加し、ヴァイブ奏者として計11枚のアルバムでサイドマンを務めた。その後、マンの後押しでAtlanticと初のレコード契約を結び、1967年から1969年にかけて、ハービー・マンのプロデュースでAtlanticとColumbiaから計4作を発表している。
こうした経験を経て、70年代初頭にRoy Ayers Ubiquityを結成した。バンドとしての活動は、ロイ・エアーズ個人のヴァイブ奏者としてのキャリアと、ソウル寄りのバンド・サウンドをつなぐ流れにある。
Roy Ayers Ubiquityの代表作としてよく挙げられるのが、1976年発表の14作目『Everybody Loves the Sunshine』だ。タイトル曲は、サイレンのようなシンセのリフと、シンプルなファンク・ベースラインが目立つ曲で、アシッド・ジャズの原点の一つとして扱われている。
この曲は後年ヒップホップでのサンプリング素材としても広く使われた。2Pac、Dr. Dre、Mos Def、A Tribe Called Quest、カニエ・ウェスト、ケンドリック・ラマー、タイラー・ザ・クリエイターらが引用していて、通算200回近くサンプリングされたとされている。
Roy Ayers Ubiquityの音は、ジャズ寄りの演奏を前面に出しつつ、リズムの組み方はファンクやソウルに寄っている。ヴァイブの音色が中心にあり、そこにベース、ドラム、キーボードがまとまって入る形だ。
70年代末には、ロイ・エアーズはアフロビートの創始者フェラ・クティと共演し、ナイジェリア・ツアーにも帯同した。さらに2人でUno Melodic Recordsというレーベルを共同設立し、ジャズとアフリカのリズムを組み合わせる動きにも関わっている。
Roy Ayers Ubiquityの活動は、アメリカのジャズ・ファンクだけでなく、アフロビートや後のヒップホップにもつながっている。ロイ・エアーズは2025年3月に84歳で死去している。