Vinyl Record Reviews
Sam Cooke(サム・クック)は、1931年1月22日にミシシッピ州クラークスデールで生まれ、1964年12月11日にロサンゼルスで亡くなった、アメリカのゴスペル/R&B/ソウル/ポップ・シンガー、ソングライター、実業家だ。ソウル・ミュージックの創始者のひとりとして扱われることが多く、ソウル史の重要人物としても知られている。
1950年、サム・クックは名門ゴスペル・グループ「ソウル・スターラーズ」のリード・シンガーに抜擢された。約6年間在籍し、「Nearer to Thee」や「Touch the Hem of His Garment」などのゴスペル曲で評価を集めた。
その後、1956年にグループを離れ、1957年からポップ/R&B歌手として本格的にソロ活動を始める。ソロ第1弾のヒット曲「You Send Me」は全米チャート1位を記録した。以後、およそ8年間でビルボードTop40入りしたシングルは29曲に達し、当時としてかなり高い商業的成功を収めた。
サム・クックの音楽は、ゴスペルで培った歌唱を土台に、R&B、ソウル、ポップの要素を結びつけたものとして整理されることが多い。ジャンル表記としては Blues、Funk / Soul、スタイルとしては Soul、Rhythm & Blues が挙げられている。
ゴスペル出身らしく、声の運びやフレーズの置き方に教会音楽の感覚が残っている一方で、ソロ以降はポップ・チャートを意識した楽曲も増えた。歌唱だけでなく、ソングライターとしての活動も重要で、自作曲「You Send Me」の成功はその代表例だ。
サム・クックは歌手としてだけでなく、ビジネスマンとしても動いていた。1961年には自身のレーベルを設立しており、レーベルは死後に活動を終えている。
また、かつてのゴスペル仲間J・W・アレクサンダーとともに、ゴスペル/R&B向けのSAR Records、ポップ向けのDerby Records、楽曲出版を担うKags Music Corporationを立ち上げた。自分の作品だけでなく、ソウル・スターラーズ、ジョニー・テイラー、ヴァレンティノズ、ビリー・プレストン、ボビー・ウーマックらの録音にも関わり、後進の活動を支えた。
代表曲のひとつ「A Change Is Gonna Come」は、ボブ・ディランの「Blowin' in the Wind」に触発されて書かれたとされている。公民権運動を象徴する楽曲として広く知られ、現在も歌い継がれている。
この曲は、サム・クックが単なるヒット・シンガーではなく、時代の社会状況と結びついた楽曲を残した人物として見られる理由のひとつになっている。
サム・クックは1986年にRock and Roll Hall of Fameへ、1987年にSongwriters Hall of Fameへ殿堂入りしている。活動期間は長くないが、ゴスペルからソウルへの橋渡しを行った存在として、後のシンガーやソングライターに影響を与えた。