Vinyl Record Reviews
Simon & Garfunkelは、シンガーソングライターのポール・サイモンと、シンガーのアート・ガーファンクルによるアメリカのフォークロック・デュオだ。1960年代に大きな人気を集め、同時代の社会の空気を映した存在としても扱われてきた。ロック、フォーク、カントリーをまたぐ幅の中で、フォークロックを軸に活動したグループとして知られている。
2人は当初から順調に進んだわけではない。初期の「The Sound of Silence」はアコースティック編成で録音されたが、最初は大きな反応を得られなかった。その後、ポール・サイモンが渡英するなど、いったんはコンビの継続が難しくなった。
ところが1965年春、ボストンやフロリダのラジオ局でこの曲が静かに広まり、プロデューサーのトム・ウィルソンが2人に知らせないまま12弦エレキギター、エレキベース、ドラムスを重ねたリミックス版を制作した。このヴァージョンが1966年1月にビルボード・ホット100で1位を獲得し、2人は急遽再結成する流れになった。そこから、エレクトリックな要素を含むサウンドを軸にしたアルバム『Sounds of Silence』へとつながっていく。
Simon & Garfunkelの中心にあるのは、ポール・サイモンの作曲・作詞と、アート・ガーファンクルの高く明瞭な歌声の組み合わせだ。2人のハーモニーは、フォークの素朴さを保ちながら、録音作品としての完成度を強く感じさせる。
編成面では、アコースティック・ギターを基盤にしつつ、後からエレクトリック楽器を加えた作品も重要だ。特に「The Sound of Silence」のヒットは、フォークの曲がエレクトリックなアレンジによって広い層へ届いた例としてよく取り上げられる。フォークロックという枠組みの中でも、彼らは歌のメロディと声の重なりを前面に出していた。
「The Sound of Silence」の大ヒット後、2人はそのサウンドを踏まえた作品制作を進めた。1960年代後半には人気をさらに広げ、1970年の『Bridge Over Troubled Water』でひとつの区切りを迎える。
この時期には、ポール・サイモンが楽曲制作の大半を担い、アート・ガーファンクルが歌唱面で存在感を発揮する構図がはっきりしていた。表題曲ではガーファンクルがソロ・ヴォーカルを担当しており、この役割分担も後の関係に影響したとされる。
『Bridge Over Troubled Water』完成前後には、2人の関係が急速に冷えていった。ポール・サイモンは作詞作曲とセッションの主導権を自分が握っていることへの不満を募らせ、アート・ガーファンクルも俳優業への関心を強めていた。結果として、1971年に活動を停止する。
その後、長く疎遠だった2人は1981年9月19日、ニューヨーク市からの公園再整備の資金集めの依頼をきっかけに、セントラルパークで再結成コンサートを行った。推定50万人が集まったこの公演は、HBOで放送され、ライブアルバムとしても記録された。
Simon & Garfunkelは、1960年代の録音音楽の中で、フォーク由来の歌とポップスとしての広がりを両立させたデュオとして扱われている。社会の変化が大きかった時代に活動し、その空気を作品に反映したことで、カウンターカルチャーの象徴的な存在としても語られてきた。
1990年にはロックの殿堂入りも果たしている。作品単位では、緻密なハーモニー、言葉の運び、アコースティックとエレクトリックの切り替えが注目されやすい。今聴いても、2人の声の距離感と、ポール・サイモンの書く曲の骨格がはっきり伝わってくる。