Vinyl Record Reviews
Smith & Mightyは、ブリストル出身のプロデューサー・デュオだ。中心メンバーはRob SmithとRay Mightyで、初期の制作にはPeter D. Roseも参加している。Rob Smithは70年代末にレゲエ・グループRestrictionのギタリストとして活動を始め、その後、地元ブリストルのレゲエやサウンドシステムの周辺でRay Mightyと組み、Smith & Mightyを立ち上げた。
Smith & Mightyは、1988年の初期シングルで注目を集めた。Burt BacharachとHal Davidの曲「Anyone Who Had a Heart」「Walk On By」をブレイクビートでカバーし、全英シングルチャート入りを果たしている。この時期の作品は、ヒップホップ、レア・グルーヴ、ソウルに、サウンドシステム文化由来の低音の感覚を重ねた内容で、後にブリストル・サウンドと呼ばれる流れを形づくる材料になった。
同じ1988年には、のちにMassive AttackとなるThe Wild Bunch周辺のデビュー・シングル「Any Love」もプロデュースしている。翌年のMassive Attackのアルバム『Blue Lines』にも、その制作感覚が反映されている。
ジャンルとしてはElectronic、Reggaeに分類されるが、実際の中身はもっと細かい。ダウンテンポのテンポ感、ダブの処理、ブレイクビートの使い方が軸にある。リズムはヒップホップ寄りの組み立てを持ちながら、ベースの押し出し方や空間の取り方にはレゲエ/ダブの発想が入っている。
派手に前へ出るというより、ビート、ベース、サンプル、エコーの配置で曲を組むタイプの制作だ。1988年のカバー曲がチャートに入ったことも、この作り方が当時のUKシーンで広く届いたことを示している。
Smith & Mightyは、ffrr Recordsに1stアルバムや続く楽曲を何度も却下されたことをきっかけに、自分たちのレーベルMore Rockersを設立した。こうして制作と発表の場を自前で持ち、活動の主導権を取った形になる。
90年代から2000年代初頭にかけては、Rob SmithとPeter D. Roseが「More Rockers」名義でも作品を発表している。Smith & Mighty本体の活動と並行して、関連名義での制作も続いた。
Smith & Mightyの仕事は、Massive Attackをはじめとするブリストル周辺の動きとつながっている。特に、ヒップホップ的なビート感とレゲエ/ダブの低音処理を同じ曲の中で扱った点は、その後のブリストル・サウンドの基本形として参照されてきた。
初期のシングル、Massive Attackの初期プロデュース、More Rockersでの活動までを見ると、Smith & Mightyは単独のヒット・アクトというより、ブリストルの制作文化を具体的な音源として残したユニットとして整理しやすい。