Vinyl Record Reviews
Sonny Rollinsは、1930年9月7日にアメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク市ハーレムで生まれたジャズ・テナーサックス奏者だ。ハード・バップを軸にしながら、長いキャリアの中でジャズの語法を大きく押し広げた人物として知られている。2026年5月25日にニューヨーク州ウッドストックで95歳で死去した。
最初の録音は1949年、Babs Gonzalesとのセッションだった。その後、Miles Davis、Art Taylor、J.J. Johnson、Bud Powell、Thelonious Monkらと共演し、1950年代からジャズの中心的なプレイヤーとして存在感を強めていく。
ロリンズは、アルバム単位でも重要な作品を残している。1956年の代表作『Saxophone Colossus』はそのひとつで、収録曲「St. Thomas」は特に知られている。この曲は、幼少期に母親が歌ってくれたカリプソの旋律をもとにした楽曲として紹介されている。
ロリンズの演奏は、テナーサックスの太い音色と、フレーズを組み立てていく進め方に特徴がある。ハード・バップの文脈に立ちながら、テーマを細かく展開していくスタイルで多くの演奏を残した。録音を聴くと、短いモチーフを繰り返しながら少しずつ形を変えていく場面が多い。
「St. Thomas」のように、カリプソ由来のリズムや旋律をジャズの中に取り込んだ例もあり、素材の選び方にも幅がある。曲ごとの輪郭がはっきりしていて、即興の流れも追いやすい。
ロリンズは自分の演奏に強い自己不信を抱えた時期があり、1959年の夏から2年以上にわたって、ニューヨークのウィリアムズバーグ橋の歩道でひとり練習を続けた。もともとは近所への配慮から外で練習を始めたものが、やがて1日14〜15時間にも及ぶ鍛錬になったと伝えられている。このエピソードは後年「ザ・ブリッジ」として広く語られるようになった。
この時期を経て発表された1962年のアルバム『The Bridge』は、復帰作として位置づけられている。演奏の再出発を示す作品として、ロリンズの活動歴の中でも重要な位置を占める。
ロリンズは、2001年に『Without a Song: The 9/11 Concert』でグラミー賞最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞している。2006年には「Why Was I Born?」でグラミー賞最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・ソロ賞を受賞し、2004年にはグラミー賞生涯功労賞も受けた。
さらに、2007年5月にはPolar Music Prizeを受賞し、2011年3月にはバラク・オバマ大統領からNational Medal of Artsを授与された。こうした受賞歴からも、ジャズ史の中で長く重い位置を占めてきたことがうかがえる。
ロリンズは、ジャズ史上もっとも重要で影響力のあるサックス奏者の一人として扱われている。Miles DavisやThelonious Monkらとの共演歴だけでなく、自身の録音群が後続のジャズ・テナー奏者に与えた影響も大きい。フレーズの組み立て方、長尺の即興、テーマの再解釈といった点は、今も彼の代表的な特徴として参照されている。
また、ロリンズはヒップホップ・アーティストの叔父でもあった。ジャズの系譜が別のジャンルにもつながっていたことを示すエピソードとして、プロフィールの中でも目を引く部分だ。