Sonny Rollins - Saxophone Colossus (1957)
Sonny Rollins 1957

Sonny Rollins - Saxophone Colossus (1957)

Jazz Bop

Sonny Rollins『Saxophone Colossus』について

Sonny Rollinsの『Saxophone Colossus』は、1956年6月22日にニュージャージー州ハッケンサックのVan Gelder Studioで録音され、1957年にPrestigeからリリースされた作品。テナー・サックスの表現力を前面に押し出した、Rollinsの代表作として知られる1枚である。共演はTommy Flanagan(ピアノ)、Doug Watkins(ベース)、Max Roach(ドラムス)。この編成だけで、曲ごとの輪郭がかなりはっきり見えてくる。

Prestigeの7079番として出た本作は、レーベルの黄金期を支えた録音のひとつでもある。PrestigeはBob Weinstockが立ち上げたジャズ・レーベルで、Miles Davis、Thelonious Monk、John Coltraneらの録音でも知られるが、Rollinsのこの時期の仕事もその中核にある。Rudy Van Gelderの録音による、演奏者の呼吸や音の立ち上がりが近く感じられるサウンドも、この時代のPrestige盤らしい特徴だ。

作品の位置づけ

Rollinsは1950年代のジャズ・テナーを語るうえで外せない存在だが、『Saxophone Colossus』はその中でも特に名前が挙がる録音。即興の勢いだけで押し切るのではなく、短い動機を組み替えながら展開していく組み立てがはっきりしていて、Rollinsの考え方がそのまま音になっている。John Coltrane以前のモダン・テナーの文脈で見ても、このアルバムの存在感は大きい。

タイトル曲のような派手さだけでなく、曲ごとの性格の出し分けが明確なのも印象的だ。Rollinsのソロは、音数で圧倒するというより、フレーズの配置や間の取り方で聴かせる場面が多い。実際に聴くと、伴奏陣が前に出すぎず、Rollinsの線をきれいに見せる設計になっていることがわかる。

収録曲のポイント

1曲目「St. Thomas」は、本作の中でも特に知られた代表曲。Rollinsの両親がデンマーク領時代のヴァージン諸島の出身で、幼少期に母が歌ってくれたカリプソ由来の旋律をジャズとして再構成した曲である。ここではリズムの軽さとメロディの親しみやすさが前面に出ていて、Rollinsが以後も繰り返しカリプソの要素に戻っていく、その出発点のような録音になっている。

もうひとつ重要なのが「Blue Seven」。この曲は、批評家Gunther Schullerが『Jazz Review』誌で発表した論考「Sonny Rollins And The Challenge Of Thematic Improvisation」で詳細に分析されたことで、ジャズ批評の文脈でもよく知られる。Rollinsが小さな動機を組み立てながらソロを進めるやり方が、かなり具体的に読み解かれた曲である。演奏を聴くと、単なるアドリブの連続ではなく、ひとつの素材を押し広げていく感覚が強い。

ほかにも、アルバム全体を通してRollinsの音色の太さと、リズム隊との噛み合いが見えてくる。Max Roachのドラムは細部の反応が速く、FlanaganとWatkinsの支えは硬すぎず、Rollinsのフレーズを前へ進める役割を担っている。

オリジナル盤について

この1957年のオリジナル盤は、Prestige 7079、あるいはラベル表記ではPRLP 7079として出ている。初回プレスではWest 50th Streetの住所表記がラベルと裏ジャケットの両方に入っており、フロントのみラミネート加工のスリーブという仕様。Prestigeの初期プレスらしい、当時の空気感をそのまま閉じ込めた形である。

『Saxophone Colossus』は、Rollinsの個性がかなり明確に出た作品でありながら、同時に1950年代ハードバップの録音美学も強く残している。曲、演奏、録音のまとまりがよく、Rollinsの代表曲「St. Thomas」を含むことで、作品単位でも入り口が作られている。Prestige時代のRollinsを理解するうえで、まず押さえておきたい1枚である。

トラックリスト

  1. A1 St. Thomas
  2. A2 You Don't Know What Love Is
  3. A3 Strode Rode
  4. B1 Moritat
  5. B2 Blue Seven

動画プレイリスト

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