Soul II Soul

Vinyl Record Reviews

Soul II Soul

Soul II Soulとは

Soul II Soulは、ジャジー・Bことトレヴァー・ベレスフォード・ロメオを中心に、1980年代後半のロンドンで育ったダンス/R&B系のコレクティブだ。ジャンル表記ではElectronic、Pop、Hip Hop、Jazz、Funk / Soul、Reggaeが並び、スタイル面ではDowntempo、Soul、Deep House、Acid Jazzにまたがる。実際の音作りも、その複数の要素をそのままつないだ形になっている。

結成までの背景

母体になったのは、ジャジー・Bが10代の頃から北ロンドンのホーンジーで続けていたサウンドシステム文化だ。1977年には仲間とサウンドシステム「Jah Rico」で活動し、1985年にはロンドンのアフリカ・センターでクラブナイトを主催している。そこでできた人脈が、後のSoul II Soul結成につながった。

当初の中心は、ジャジー・B、プロデューサー/アレンジャーのNellee Hooper、インストゥルメンタリストのDaddae Harveyだった。そこにヴォーカリストや参加メンバーが加わる形で、流動的な集団として動いていく。

初期のヒットと評価

初期シングルの「Fairplay」「Feel Free」でクラブや音楽メディアの注目を集め、その後にキャロン・ウィーラーを迎えた「Keep on Movin'」が1989年3月に全英トップ10入りを果たした。続く「Back to Life」は1989年夏に発表され、全英1位、全米4位のヒットになっている。

この時期の代表作として知られるデビューアルバム『Club Classics, Vol. One』は、直後にリリースされた。さらに1990年のグラミー賞では2部門を受賞している。

音楽的特徴

Soul II Soulの音楽は、フィリー・ソウル、ディスコ、レゲエ、80年代ヒップホップを土台にしたR&Bとして整理されることが多い。そこにジャズ・ファンクやレア・グルーヴ、バレアリック・ビートの要素も入り、ベースライン、リズムの組み方、歌の置き方に特徴がある。

サウンド面では、ダウンテンポ寄りの曲運びや、ハウス寄りのビート感、ソウルの歌唱を組み合わせた構成が目立つ。クラブ向けの機能を持ちながら、R&Bの歌ものとしても成立する作りになっている。

キャッチフレーズとビジュアル

ジャジー・Bは「A happy face, a thumpin' bass, for a lovin' race」というキャッチフレーズと、「ファンキ・ドレッド」のロゴを掲げた。音楽だけでなく、アフロセントリックなスタイルやドレッドヘアを前面に出したビジュアルでも存在感を持っていた。

カムデン・ハイ・ストリートに直営ショップを構え、「ファンキ・ドレッド」ブランドの衣料も展開していた。こうした活動は、当時のブラック・ブリティッシュ・カルチャーの一部として受け止められていた。

メンバーの変遷

キャロン・ウィーラーは「Keep on Movin'」「Back to Life」で中心的な役割を担ったが、その後は脱退している。1990年の『Vol. 2: 1990 — A New Decade』では、Victoria Wilson-James、Lamya、Marcia Lewis、Kym Mazelleがリードヴォーカルを担当した。

1991年から1996年にかけては、Melissa Bell、Charlotte Kelly、Penny Fordなど新しい女性ヴォーカリストを迎えながら活動を続けた。2007年以降はジャジー・Bとキャロン・ウィーラーの再結成体制が中心になり、2010年のツアー後にウィーラーが一度離れ、その後Charlotte Kellyが代わっていた時期もある。2013年にはウィーラーが再加入し、2016年12月にはライブアルバム『Origins』をリリースした。2017年にはKellyも再び参加し、ウィーラーとリードを分担している。2019年からはNadine Caesarもツアーに参加している。

影響と位置づけ

Soul II Soulは、1980年代後半のダンス・R&Bの中で、クラブ文化とソウル/レゲエ/ヒップホップをつなぐ役割を担ったグループとして扱われている。ロンドンのサウンドシステム文化から出発して、ブラック・ミュージックの複数の流れをまとめた点が特徴だ。

音楽面だけでなく、ファッションやブランド展開を含めて、ブラック・ブリティッシュ・カルチャーの可視化にも関わっていた。ジャジー・Bの主導で、クラブ現場、レコード作品、ビジュアル表現が一体になっていたのが、このグループの大きな特徴だ。

聴くときのポイント

  • 「Back to Life」で、歌とビートの組み合わせを確認しやすい
  • 「Keep on Movin'」では、クラブ感とR&Bのバランスがわかりやすい
  • 『Club Classics, Vol. One』は、初期の方向性をまとめて追いやすい
  • 『Vol. 2: 1990 — A New Decade』では、ヴォーカリスト交代後の体制も見える

関連サイト

toast