Vinyl Record Reviews
Sphinxは、Stefano PulgaとLuciano Ninzattiを中心とするイタロ・ディスコ系のプロジェクトだ。ウェブ上の情報では、Matteo Bonsantoを加えた3人組として1983年にミラノのG.R.S. Studioで制作され、Disco Magic - Milanoから発表されたとされている。なお、1970年代にも同名のディスコ・プロジェクトがあるが、こちらは別の企画だ。
このプロジェクトの核になっているStefano Pulgaは、1954年にサルデーニャ島サッサリで生まれ、音楽院でピアノを学んだあと、1970年にミラノへ移った。1973年にはDik Dikの鍵盤奏者を短期間務め、翌1974年にはLucio Battisti制作のバンドFlora Fauna Cementoに参加している。イタリアン・ポップスやロックの現場で経験を積んだのち、1979年にはNinzatti、BonsantoとともにKanoを結成した。
Sphinxを理解するうえでは、KanoとPink Projectの存在が大きい。Kanoでは、70年代ディスコ・ファンクにシンセサイザーやハンドクラップを積極的に取り入れた「I'm Ready」が1980年にヒットし、全米ブラックチャートで21位を記録した。これはイタロ・ディスコの流れを語るときにしばしば挙がる曲だ。
また、同じメンバーで手がけたPink Projectでは、Pink Floydの「Another Brick in the Wall (Part II)」とThe Alan Parsons Projectの「Mammagamma」を組み合わせた「Disco Project」が1982年にヒットした。既存曲の構成やテンポ感を手がかりにしたこの手法は、当時のイタロ・ディスコの制作感覚をよく示している。
Sphinxは、こうしたKanoやPink Projectと同じ制作チームが並行して進めたプロジェクトのひとつとして位置づけられている。ジャンルはElectronic、スタイルはItalo-Discoに分類される。ウェブ情報では、ミラノのスタジオ制作、レーベルからのリリース、そして同時期の他プロジェクトとのつながりが確認できる。
イタロ・ディスコらしく、シンセサイザー主体のアレンジ、ダンス向けのビート、スタジオ・プロジェクトとしての性格が前面にある。メンバー個々のキャリアを見ても、バンド活動、ポップス制作、ディスコ・ファンク、マッシュアップ的な発想が重なっていて、Sphinxもその延長線上にある企画として捉えやすい。
Stefano Pulgaはその後、1990年代にサンレモ音楽祭の指揮を2度務め、後年はCM音楽やテレビ用の劇伴作曲家としても活動している。Sphinx単体の活動歴は多く語られていないが、Pulga、Ninzatti、Bonsantoが関わった一連のプロジェクトの中で見ると、80年代初頭のイタリアのスタジオ制作文化を反映したユニットのひとつとして整理できる。
同名の1970年代ディスコ・プロジェクトとは別物なので、ディスコ文脈でSphinxを調べるときは混同しないようにしたいところだ。