Sphinx - Sphinx (1983)
Sphinx 1983

Sphinx - Sphinx (1983)

Electronic Italo-Disco

Sphinx『Sphinx』──1983年イタリア産イタロ・ディスコの1枚

イタリアのSystem Musicから1983年に登場したSphinxのアルバム『Sphinx』は、同時代のイタロ・ディスコらしい制作環境と人脈がはっきり見える作品だ。クレジット上では制作にStefano PulgaとLuciano Ninzattiが関わり、レーベルの中心人物であるMatteo Bonsantoの名前も資料に見える。録音はミラノのG.R.S. Studioで行われ、同じくミラノのDisco Magicが流通・販売を担っていた記録もある。1983年という時期をそのまま反映した、イタリア産電子ディスコの一枚として捉えやすい。

作品の輪郭

収録は全5曲で、「Bad Girl」「When I’m in Love」「Collision」「Love in “C” Minor」「Counting Song」という構成。タイトル曲を持つアルバムではなく、各曲でサウンドの作りを見せるタイプの内容になっている。Sphinxはイタロ・ディスコのプロジェクトで、メンバーとしてはStefano PulgaとLuciano Ninzattiが記載されている。両者は同時代のイタリアン・ダンスミュージックで重要な仕事を重ねていた人物で、この盤でもその制作感覚が前面に出ている。

この作品が面白いのは、華やかなディスコの延長線というより、シンセを中心にした機械的な組み立てが軸になっている点だ。リズムははっきり刻まれ、ベースラインは前に出る。そこに鍵盤のフレーズやコーラスが重なり、曲ごとに輪郭を作っていく。イタロ・ディスコらしい整った打ち込み感がありながら、ミラノ制作らしい硬さも感じる盤という印象だ。

聴きどころとして語られやすい曲

後年の再評価で特に触れられやすいのが「Love in “C” Minor」だ。Cerroneの「Love in C Minor」を下敷きにした再構成曲として紹介されることが多く、このアルバムの中でも名前が挙がりやすい。オリジナルのディスコ文脈を踏まえながら、イタロ・ディスコ側の手つきで組み直したような位置づけで語られている。

「Bad Girl」や「When I’m in Love」は、アルバム全体の方向性をつかみやすい曲として置かれている印象がある。派手な展開を連続させるというより、一定のテンポ感を保ちながら、音色やコーラスの配置で引っ張る作り。最後の「Counting Song」まで通して聴くと、アルバムとしての統一感が見えやすい。

制作背景と同時代の文脈

System Musicは1982年にミラノで立ち上がったイタロ・ディスコ系レーベルで、この時期の作品群は、KanoやDharma周辺に近い制作文脈で語られることがある。『Sphinx』もその流れに置くと理解しやすい。ディスコを単に踊りやすい音楽として扱うのではなく、シンセサイザー主体の構成へ寄せ、より人工的で直線的な感触へ進めていく時期の作品だ。

当時の大きな商業チャート実績を示す一次資料は見つかっていないが、後年のコレクター資料や再評価では、通しで聴ける完成度の高いLPとして扱われている。特にイタロ・ディスコの初期から中期へ進む流れの中で、プロデューサー/アレンジャー主導の作品として位置づけやすい。Sphinxという名義も、ボーカル・グループというより制作プロジェクトとして見ると納得しやすい。

盤の仕様と流通上の特徴

この盤には、ラベルのA面とB面が逆に貼られている個体があるという記録もある。コレクターの間では、そうしたプレス差や表記違いも含めて話題になることがあるようだ。Runoutはエッチングとのことで、初期プレスらしい物理的な情報も残っている。こうした点も、1980年代前半のイタリア盤らしい面白さのひとつだ。

まとめ

『Sphinx』は、1983年のイタリア産イタロ・ディスコをそのまま切り取ったようなアルバムだ。Stefano Pulga、Luciano Ninzatti、Matteo Bonsantoという制作陣、ミラノの録音環境、System Musicというレーベルの性格が重なり、当時の電子ディスコの作り方が見えやすい。ヒット曲を前面に出す作品というより、後年になってから盤全体のまとまりや「Love in “C” Minor」の引用的な面白さで語られることが多い一枚。イタロ・ディスコの流れを追ううえで、資料としても聴感上の記録としても、かなり輪郭のはっきりした作品だ。

トラックリスト

  1. A1 Bad Girl 5:24
  2. A2 When I'm In Love 5:33
  3. A3 Collision 5:22
  4. B1 Love In «C» Minor 9:04
  5. B2 Counting Song 7:00

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