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Suicideは、アラン・ヴェガとマーティン・レヴによるアメリカの音楽デュオだ。1970年にニューヨークで結成され、1970年から2016年まで断続的に活動した。編成はかなり特異で、ギタリストを置かず、安価なシンセサイザーとドラムマシンを中心に演奏していた。
アラン・ヴェガとマーティン・レヴは、1970年にニューヨークの芸術家組織「アート・ワーカーズ・コアリション」を通じて出会い、その年にSuicideを結成した。まだ「パンク」という言葉が現在の意味で広く定着する前の時期に、1970年代初頭のライブ告知フライヤーで自らをすでに「パンク」と表記していたことでも知られている。
当時としてはかなり珍しい、シンセサイザーとドラムマシンだけの編成で、ロックの文脈にそのまま収まりにくい音を鳴らしていた。活動初期のライブは挑発的だったようで、観客との衝突や乱闘騒ぎに発展することもあった。CBGBなどのクラブでは、ブーイングや罵声に対してヴェガとレヴがステージ上から応酬する場面もあったとされる。ブリュッセル公演では暴動に近い騒乱にまで発展し、その模様を収めたライブ音源も後年リリースされている。
Suicideの音楽は、ElectronicとRockのあいだに置かれることが多い。スタイルとしては、Punk、Minimal、No Wave、Synthpunkが挙げられる。実際の音は、シンセサイザーの反復、簡素なリズム、ヴェガの強いボーカルが軸になっていて、楽器の数は少ないのに、ライブではかなり切迫した空気を生んでいた。
こうした編成と演奏方法は、後のニューウェイヴやノー・ウェイヴ、シンセポップ、インダストリアルの流れを先取りしたものとして扱われることが多い。ロックバンドの基本形から外れたまま、都市の騒音や機械的な反復を前面に出していた点が特徴だ。
1977年に発表されたセルフタイトルのデビュー・アルバムは、Suicideを語るうえで外せない作品だ。中でも「Frankie Teardrop」は、失業に追い詰められた工場労働者が妻子を殺害した末に自殺したという新聞記事をもとに作られた曲として知られている。
この曲では、絶叫に近いヴェガの歌と電子音が前面に出ていて、かなり厳しい内容の物語がそのまま音になっている。後続の多くのジャンルに先行する要素を含むとして評価されてきた。ルー・リードが「自分が書きたかった曲」と評したという話もあり、ブルース・スプリングスティーンはこの曲に強い衝撃を受けたとされる。とくにアルバム『Nebraska』や「State Trooper」には、その影響が見られると語られている。
Suicideは、初期のライブでの過激さと、少ない機材で作る切迫したサウンドの両方で記憶されている。パンクの初期から自分たちをその言葉で呼んでいたこと、そしてロックの編成を崩したまま強い存在感を残したことが、後のアーティストに大きく影響した。
現在では、パンク、ノー・ウェイヴ、シンセパンクの文脈で語られることが多い。ロック史の中でも、かなり早い段階で電子音と攻撃性を結びつけたグループとして扱われている。
公式SNSや関連ページでは、バンドの写真、過去の記録、時系列資料なども確認できる。Suicideの作品やライブの流れを追うと、ロックと電子音の接点をかなり早い時期に押し広げていたことが見えてくる。