Vinyl Record Reviews
Synthesisは、1976年にフランスのジャズ・ドラマー/プロデューサー、クロード・デルクルーが組織したプロジェクトだ。23人のスタジオ・ミュージシャンを集めて制作された企画で、フランスのジャズ/フュージョン文脈の中でもかなり大規模な編成になっている。
デルクルーは1967年にジャズ誌「Actuel」を創刊した人物でもある。その後、この雑誌を母体にしてフリー・ジャズのレーベルBYGが生まれ、デルクルー自身もA&R的な役割を担いながら、アメリカのフリー・ジャズ勢との橋渡しをしていた経歴がある。Synthesisは、そうした活動歴を持つ人物が1970年代半ばに手がけたプロジェクトとして見ておくと流れが追いやすい。
Synthesis名義では、Arcレーベルから1976年にセルフタイトル作が発表されている。この作品には、後にヴァイオリニストとして広く知られるディディエ・ロックウッドをはじめ、サックスのフランソワ・ジャノー、ドラムのアンドレ・チェッカレリ、トランペットのイヴァン・ジュリアン、トロンボーンのジャック・ボロネージやハミド・ベルオシンなど、当時のフランスのスタジオ・ミュージシャンが並んでいる。
このアルバムでは、細かく刻まれるヨーロピアン・フュージョンのビート感、ビッグバンド的なファンキーなグルーヴ、それにオーケストラルなアレンジやヴォーカルの彩りが交錯している。ジャンル表記としては Rock、Jazz、Funk / Soul が挙げられ、スタイル面では Fusion、Jazz-Rock、Jazz-Funk、Soul-Jazz にまたがる内容として整理されている。
編成の大きさもあって、個々の演奏だけでなく、アレンジ全体の組み立てが重要な作品として受け取られている。スタジオ・ミュージシャンを多数集めたプロジェクトらしく、ソロとアンサンブルの切り替えや、管楽器群のまとまり方に耳が向く内容だ。
Synthesisの1976年作は、後年になるとジャズ・フュージョン愛好家のあいだでカルト的な人気を得ていく。再評価のポイントとしては、ソロの妙技、アレンジの豊かさ、そして当時としての先進性が挙げられている。フランスのスタジオ・シーンの実力がまとまって見える作品として、今も話題に上ることがある。
このプロジェクトを追うときは、まず1970年代フランスのジャズ/フュージョン環境と、クロード・デルクルーの編集者・プロデューサー的な立ち位置を押さえておくと入りやすい。そこから作品を聴くと、単なるバンド録音ではなく、当時のシーンを横断するスタジオ・プロジェクトとして見えてくる。
ジャズ、ファンク、ソウル、ロックの要素が並ぶ中で、Synthesisはフランス産フュージョンの一つの断面を残した企画として扱われている。演奏者の顔ぶれを追うだけでも、当時のフランスの音楽シーンの厚みが伝わってくる。