Vinyl Record Reviews
Tame Impalaは、オーストラリア・パースで2007年にケヴィン・パーカーが始めた音楽プロジェクトだ。スタジオでは基本的にパーカーが作詞、作曲、演奏、録音、プロデュースまでを一人で担当している。一方で、ライブではジェイ・ワトソン、ドミニク・シンパー、ニック・オルブルック、キャメロン・エイヴリーらが加わり、バンド編成で活動してきた。
パーカーはTame Impala以前から、ルーク・エプスタインとのロックデュオ「Dee Dee Dums」など、複数のバンドで活動していた。Tame Impalaもその流れの中で生まれたプロジェクトで、名前はアフリカに生息するインパラに由来する。
初期の活動では、パース周辺の音楽シーンとのつながりも強い。ツアー・メンバーのジェイ・ワトソンやニック・オルブルックは、同じくパースを拠点とするバンドPondでも知られていて、両者の人脈はかなり重なっている。
デビュー・アルバム『Innerspeaker』は、西オーストラリア州インジドゥップの「Wave House」で2009年6月から8月にかけて録音され、2010年にModular Recordingsからリリースされた。批評家から高く評価され、オーストラリアではゴールド認定を受けている。
2作目の『Lonerism』は2012年に発表され、グラミー賞の最優秀オルタナティブ・ミュージック・アルバム部門にノミネートされた。続く3作目『Currents』は2015年にリリースされ、ARIA Awardsで「Best Rock Album」と「Album of the Year」を受賞している。
2016年には、リアーナがアルバム『ANTI』の収録曲として「New Person, Same Old Mistakes」を「Same Ol' Mistakes」としてカバーした。パーカー自身もプロデュースに参加していて、このカバーを通じてTame Impalaの名前はポップ・リスナーにも広く届いた。
Tame Impalaの音楽は、Electronic、Rock、Popを軸にしながら、Psychedelic Rock、Soft Rock、Indie Pop、Indie Rock、Synth-popの要素を組み合わせている。ギターの残響感とシンセサイザーの音色が前面に出る曲が多く、リズムや音の重なり方にも特徴がある。
初期作ではサイケデリック・ロック寄りの作りが目立ち、『Currents』以降はシンセを使ったポップ寄りの曲作りも増えている。とはいえ、どの時期もパーカーの作曲と音作りが中心にある点は変わっていない。
スタジオ作品ではパーカーの個人プロジェクトとしての性格が強いが、ライブでは複数メンバーによる演奏で再現される。ツアー編成のメンバーは時期によって変わることがあるが、2007年以降はこの形で活動を続けてきた。
Tame Impalaを追うときは、まず『Innerspeaker』『Lonerism』『Currents』の3作を順番に聴くと流れがつかみやすい。サイケデリック・ロックの土台から始まり、曲の構成や音色が少しずつポップ寄りに広がっていく。
特に、パーカーが一人で多くの工程を担う制作スタイルは、楽曲ごとのまとまりに直結している。ライブではその楽曲をバンド編成で鳴らすので、作品とステージで少し違う印象を受けることもある。