Vinyl Record Reviews
The Awakeningは、1970年代初頭にシカゴで活動したジャズ・グループだ。編成は、テナーサックス/フルートのAri Brown、キーボードのKen Chaney、トランペットのFrank Gordon、トロンボーンのSteve Galloway、ベースのReggie Willis、ドラムスのArlington Davis, Jr.の6人組である。
このグループは、シカゴのジャズ史の中でも少し特別な位置にいる。Ari BrownとReggie Willisは、1965年に設立されたAACM(Association for the Advancement of Creative Musicians)のメンバーでもあり、Muhal Richard Abrams、Lester Bowie、Anthony Braxtonらの作品にも参加していた。一方で、共同リーダーのFrank GordonとKen Chaneyは、シカゴのソウル・ジャズ・グループ、Young-Holt Unlimitedを経てきたメンバーだ。
そのためThe Awakeningの音には、AACM系の自由な発想と、ブランズウィックやケイデットといったシカゴのレーベルに結びついたリズム重視のソウル・ジャズの要素が同居している。ウェブ上の情報でも、フリー・ジャズやアフロセントリックな探求と、ソウル・ジャズの流れが重なったグループとして整理されている。
The Awakeningが残したスタジオ録音は少ない。西海岸のBlack Jazz Recordsが録音した唯一の「グループ」で、1972年から1973年にかけて2枚のアルバムを発表している。
デビュー作『Hear, Sense and Feel』は、メンバーの自作曲を中心に構成されている。続く『Mirage』では全7曲をメンバーが作曲し、ゲストのベーシスト、パーカッショニスト、ヴォーカリストも加わっている。2作目では、1作目よりも抽象度を上げつつ、政治色はやや薄い方向へ進んでいる。
ジャンル分けではJazzに入り、スタイルとしてはSoul-Jazz、Modal、Spiritual Jazzが挙げられている。実際、The Awakeningの特徴は、シカゴ系ソウル・ジャズの推進力のあるリズムと、AACM周辺の実験的な感覚が同じグループ内で並んでいる点にある。
Black Jazz Recordsのカタログの中でも、The Awakeningはソウル・ジャズ寄りの聴きやすさと、モーダルな展開や自由度の高い演奏が同居する存在として扱われてきた。派手なヒット作を多く残したわけではないが、少ない録音の中で方向性の違いが見えるグループだ。
アルバムの発表後、グループは解散している。メンバーはそれぞれスタジオワークやAACMでの活動に戻った。1976年にはOvation Recordsからコンピレーション盤『Brand New Feeling』がリリースされている。
近年はBlack Jazz Recordsの再評価が進み、Real Gone Musicなどによる2作のリマスター再発も行われている。オリジナル盤の流通量が少ないこともあり、コレクターのあいだでは以前から注目されてきたグループだ。
The Awakeningを聴くなら、まずはシカゴのソウル・ジャズとAACM系の流れがどう重なっているかを見ると分かりやすい。リズムの作り方、ホーンの使い方、キーボードの入り方に、両方の背景が出ている。
2枚しか残していないので、作品数は多くない。ただ、その分だけ各曲でメンバーの持ち味がはっきり出ている。Black Jazz Recordsの中でも、シカゴのジャズ史と結びつけて追うと面白いグループだ。