Vinyl Record Reviews
The Byrds(ザ・バーズ)は、1964年にロサンゼルスで結成されたアメリカのバンドだ。ジャンルはロックを軸に、フォーク、カントリー、サイケデリックの要素を取り込みながら活動した。1973年の解散までに12枚のスタジオ・アルバムを残している。
バンドはロジャー・マッギンを中心に始動した。活動初期の大きな転機になったのが、ボブ・ディランの「Mr. Tambourine Man」のカヴァーだ。原曲の一部を省きつつ、マッギンの12弦ギターによるリフと、ビートルズを思わせるコーラスワークを前面に出したこのシングルで、The Byrdsは広く知られるようになった。
この曲は、フォークロックという新しい流れを形にした初期の大ヒットとして扱われることが多い。マッギンが弾くリッケンバッカー12弦ギターの響きは、その後のロックの音作りにも長く残った。
The Byrdsの音楽は、ポップロック、フォークロック、クラシックロック、カントリーロックの要素で整理されることが多い。初期はフォーク由来の楽曲をロックの編成で鳴らし、そこに12弦ギターの音色と整ったコーラスを重ねた。
その後はサイケデリックな要素も加わり、さらに1968年にグラム・パーソンズが加入すると、カントリーの比重が大きくなった。ここで制作された『Sweetheart of the Rodeo』は、カントリーロックの重要作として知られている。録音時にマッギンがトレードマークのリッケンバッカーではなく、グレッチのギターを使ったという話も残っている。
活動期間中、The Byrdsは何度もメンバー交代を経験した。中心にいたのはロジャー・マッギンで、彼だけが一貫して在籍したメンバーとして記録されている。
The Byrdsは、フォークロックとカントリーロックの両方を早い段階で押し広げたバンドとして扱われている。特に「Mr. Tambourine Man」で示したフォーク由来の素材をロックへ接続するやり方と、『Sweetheart of the Rodeo』でのカントリー志向は、後の多くのバンドに影響を与えた。
グラム・パーソンズが持ち込んだカントリーロックの考え方は、その後のローリング・ストーンズやウィルコにもつながる流れとして語られることがある。ロック史の中では、単にヒット曲を持つバンドというより、ジャンルの境界を動かした存在として見られている。
1973年に解散したのち、1991年にはロックの殿堂入りを果たした。殿堂入りの際にはオリジナルの5人がそろって演奏し、これが最後の共演になったとされている。
The Byrdsを初めて聴くなら、まずは「Mr. Tambourine Man」を押さえておくとバンドの出発点が見えやすい。そのうえで『Sweetheart of the Rodeo』を聴くと、同じバンドがカントリーロックへ踏み込んでいく流れも追いやすい。
フォーク、ロック、カントリーの間を行き来しながら、60年代のアメリカン・ロックの形を更新していったバンドとして、今も参照され続けている。