Vinyl Record Reviews
The Gap Bandは、アメリカ・オクラホマ州タルサ出身のファンク・バンドだ。中心メンバーは兄弟のRonnie Wilson、Charlie Wilson、Robert Wilsonで、グループは1967年に「Greenwood, Archer and Pine Street Band」として結成された。その後、地元タルサの通り名を短く取ったThe Gap Bandを名乗るようになる。
バンド名の由来になったGreenwood、Archer、Pineは、かつて「ブラック・ウォールストリート」と呼ばれた黒人コミュニティに由来する。1921年のタルサ人種虐殺でこの地域は大きな被害を受けており、Charlie Wilsonは、バンド名を通じてその歴史を語り継ぐ意図があったと話している。単なる地名の引用ではなく、出自の記憶を背負った名前として使われていたわけだ。
初期の大きな転機は、同じタルサ出身のLeon Russellのアルバム『Stop All That Jazz』(1974年)でバックバンドを務めたことだ。この仕事がきっかけになり、Russellが所有するShelter Recordsから1stアルバム『Magician's Holiday』(1974年)をリリースしている。
その後は、シンガーソングライターのD.J. Rogersを通じて実業家Lonnie Simmonsと知り合い、SimmonsのTotal Experience Productionsと契約した。ここからMercury Recordsとのレコード契約にもつながっていく。制作体制が整ったことで、バンドの活動はより広い展開を見せるようになった。
The Gap Bandの音楽は、Funkを軸にSoulやDiscoの要素を取り入れたものとして整理される。リズムの強い演奏、ベースラインの推進力、ホーンを含む編成が特徴的で、ダンス志向の楽曲が多い。
楽曲ごとの印象としては、ファンクの土台の上にソウルの歌唱を重ね、時期によってはディスコ寄りの感触も出している。バンドとしての代表曲には、以下のようなタイトルがある。
こうした曲は、The Gap Bandの名前を広く知られるものにした中心的なレパートリーになっている。
プロフィール上では、Ronnie Wilson、Charlie Wilson、Robert Wilsonの3兄弟を中心に、Val Young、Lonnie Simmons、Tuck Andress、Malvin 'Dino' Vice、Chris Clayton、Tommy Lokey、Anthony Walker、O'Dell Stokes、Roscoe Smith、Billy Youngらの名前が挙がっている。時期によって参加メンバーは変わっているが、核になっていたのはWilson兄弟だ。
特にCharlie Wilsonは、のちのファンク/ソウルの文脈でもよく知られる存在になっていく。The Gap Bandでは、バンドの顔として機能する場面も多かった。
The Gap Bandは、オリジナル曲だけでなく、後のアーティストにサンプリングされる機会も多い。関連サイトにWhoSampledが挙がっていることからも、彼らの音源がヒップホップやR&Bの制作現場で参照されてきたことがうかがえる。
ファンク、ソウル、ディスコをまたぐ曲作りは、同時代のダンス・ミュージックの流れとつながっている一方で、タルサの歴史をバンド名に刻んでいた点も特徴的だ。音楽そのものだけでなく、名前の背景まで含めて語られるグループとして知られている。
グループはRobert Wilsonの死去した2010年8月15日まで活動を続けたとされる。現在では、70年代から80年代にかけてのアメリカン・ファンクを語るうえで外せない存在として扱われることが多い。公式サイトやSNS、Wikipedia、Soulwalkingなどの資料でも、彼らの活動史や楽曲は今も参照されている。
The Gap Bandを聴くときは、ヒット曲の勢いだけでなく、タルサの地名を背負ったバンド名、Leon Russellとの接点、Lonnie Simmonsとの制作体制まで見ておくと、グループの輪郭がかなりはっきりする。