Vinyl Record Reviews
The Grodeck Whipperjennyは、1970年にオハイオ州シンシナティで結成されたバンドだ。ジャンルはRock、Funk / Soulにまたがり、スタイルとしてはFunk、Psychedelicが挙げられている。メンバーはJimmy Madison、Michael Moore、Kenny Poole、Dave Matthews、Mary Ellen Bellの5人。
このバンドの中心にいたのが、ピアノ、オルガン、トロンボーンを担当したデイヴ・マシューズだ。マシューズは当時、ジェイムズ・ブラウンのアレンジャー兼バンドリーダーを務めていた人物で、The Grodeck Whipperjennyのアルバム『The Grodeck Whipperjenny』は、ブラウンが新設したPeople Recordsの第1弾作品として1970年に発表された。
同じ時期に、マシューズはジェイムズ・ブラウン名義の『Sho Is Funky Down Here』も手がけていて、この2作は対になる作品として扱われることがある。ブラウンの周辺で制作された流れの中に、このバンドの作品が置かれている。
この作品は、ファンクを軸にしながら、アシッドロック、室内楽的なポップ、アヴァンギャルド・ジャズの要素をまたぐ内容として紹介されている。ファンクのリズム感を持ちながら、単純なソウル・バンドの枠には収まらない構成が見える。
制作の背景を踏まえると、ジェイムズ・ブラウンのファンク感覚と、若手アレンジャーだったマシューズの編曲が重なっている。実際にどこまで即興性を前面に出しているか、どこまで緻密に組まれているかは曲ごとに確認したくなるタイプの作品だ。
「Grodeck」は、フロイトにも影響を与えたドイツの精神分析学者ゲオルク・グロデックに由来する。「Whipperjenny」は、"whippersnapper"と、紡績機を連想させる女性名"Jenny"を組み合わせた造語だとされている。バンド名だけでも、既存のロックやファンクのグループ名とは少し違う印象がある。
このアルバムは長く入手困難な稀少盤だったが、2019年にNow-Again Recordsからオリジナル・マスターテープを使った正式再発盤が出た。限定2500枚で、ジェイムズ・ブラウン研究家のアラン・リーズによるライナーノーツも付いた。この再発で、当時の文脈と一緒に作品を追いやすくなった。
The Grodeck Whipperjennyは、ジェイムズ・ブラウンのレーベル初期作として出たこと、そしてファンクを起点にしながら複数の要素を混ぜた構成で知られている。作品単体でも、当時のPeople Recordsまわりを追う上でも、押さえておきたい一枚だ。