The Grodeck Whipperjenny - The Grodeck Whipperjenny (1971)
The Grodeck Whipperjenny 1971

The Grodeck Whipperjenny - The Grodeck Whipperjenny (1971)

Rock Funk / Soul Funk Psychedelic

The Grodeck Whipperjenny『The Grodeck Whipperjenny』(1971)

1971年にUSのPeopleから出た、The Grodeck Whipperjenny名義の唯一作。クレジット上はロックとファンク/ソウルにまたがる作品で、スタイルにはサイケデリックとファンクが並ぶ。James Brownが立ち上げたPeopleレーベルの初期タイトルのひとつでもあり、同時代のブラウン周辺のファンク作品群と並べて語られることが多い一枚だ。

この作品の面白さは、単にファンク寄りのロック盤というだけではない点にある。演奏者として Jimmy Madison、Michael Moore、Kenny Poole、Dave Matthews、Mary Ellen Bell の名が見えるが、バンドの詳細な来歴は表に出てこない。そのぶん、音だけで輪郭をつかむタイプのアルバムとして聴かれやすい。Peopleレーベルの中でも、James Brown本体のソウル/ファンク路線とは少し距離を置きつつ、当時の黒人音楽の拡張性を感じさせる位置にある作品だと思う。

レーベルの文脈と作品の立ち位置

Peopleは1971年にJames Brownが設けたレーベルで、Lyn CollinsやThe J.B.'sといった面々が所属したことで知られる。このアルバムが出た1971年という時期は、レーベルの立ち上がりとほぼ重なっている。つまり本作は、Peopleの初期カタログの空気をそのまま抱えた一枚でもある。ブラウン周辺の作品に共通する、リズムの前に出方や、セクションごとの切り替えの速さ、反復の強さといった要素を、このアルバムでも追うことができる。

同時代の文脈で見ると、サイケデリック・ロックの音像と、JB流のファンクの骨格が接近した時期の作品として置ける。George Clinton周辺の展開や、Sly & the Family Stoneのような混成感とも近い場所にあるが、ここではよりレーベルの色が濃い。派手なコンセプトで押すというより、演奏の組み立てとグルーヴの持続で聴かせるタイプのアルバムだ。

聴きどころ: 作品全体の流れ

実際に通して聴くと、まず印象に残るのは低音の置き方とリズムの密度。ファンクの要素が前面にある場面でも、単なる踊りやすさだけでは終わらず、ギターや鍵盤、ホーンの出入りが細かく、曲ごとの表情が変わる。ロック寄りの硬さと、ソウル寄りの粘りが同居していて、どこか“バンドで鳴らしている”感触が強い。

また、サイケデリックというタグが付く作品らしく、一直線に盛り上がるだけではなく、音の厚みや間の取り方に少し変化球がある。録音の質感も70年代初頭らしい生々しさがあり、過度に整えられていないぶん、演奏の癖がそのまま出る。聴感上は、ファンク・バンドとしての推進力と、ロック・アルバムとしての粗さが同じ盤面に収まっている印象だ。

代表曲について

本作はシングル・ヒットで広く知られるタイプのアルバムではないが、アルバム全体の中で耳を引くのは、反復するリズムを軸にした長めの展開を持つ曲群だ。そうした曲では、冒頭のリフがそのまま曲の性格を決め、そこから各パートが少しずつ重なっていく。ファンクの基本形をなぞりながら、ロックのバンド演奏としても成立させる作りが見える。

とくに注目したいのは、演奏が“止まらない”ことよりも、細かな受け渡しで進んでいく点だ。ドラムとベースが土台を作り、その上でギターや鍵盤が短いフレーズを差し込む。歌がある場面でも、歌メロだけで引っ張るというより、楽器の配置そのものが曲の推進力になっている。こうした構造は、当時のJames Brown周辺の録音に通じる部分がある。

総括

『The Grodeck Whipperjenny』は、1971年という時代の空気と、Peopleレーベルの立ち上がりの熱量をそのまま閉じ込めたような作品だ。ロック、ファンク/ソウル、サイケデリックという要素が並ぶが、どれか一つに回収される盤ではない。むしろ、ジャンルの境目で演奏がどう組み上がるかを聴かせるアルバムとして面白い。

The Grodeck Whipperjennyという名前自体は広く知られたものではないが、この1枚を通すと、PeopleレーベルがJames Brownの本流だけでなく、周辺の実験性や拡張性も抱えていたことが見えてくる。1971年のUS盤として、当時のファンクの広がりを知るうえで外せない位置にある一作だ。

トラックリスト

  1. A1 Sitting Here On A Tongue 2:50
  2. A2 Wonder If 2:55
  3. A3 Why Can't I Go Back 3:40
  4. A4 Conclusions 4:33
  5. A5 You're Too Young 1:48
  6. B1 Put Your Thing On Me 4:40
  7. B2 Inside Or Outside 1:00
  8. B3 Evidence For The Existance Of The Unconscious 10:28

動画

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