Vinyl Record Reviews
The Human Beastは、スコットランド・エディンバラ出身のサイケデリック・ロック・バンドだ。1960年代末のイギリスで結成された短命のグループで、当初はSkinという名前で活動していたが、その名義では録音は残していない。
メンバーは、ギターとボーカルのGillies Buchan、ベースとボーカルのEdward Jones、ドラムのJohn Ramsey、そしてクラリネットのDavid McNiven。のちに知られる編成では、ギター、ベース、ドラムを軸にしつつ、クラリネットが加わっている点が目を引く。
Human Beastは1970年にDecca Recordsと契約し、デビュー作『Volume One (Instinct)』を発表した。バンドとしての活動期間は長くなく、作品数も多くないが、このアルバムが後年になって再評価されることになる。
発売当時のセールスは振るわなかったが、その後はコレクターの間で注目を集めるようになった。オリジナルのUK盤は希少盤として扱われ、状態の良いものには高値がつくこともある。
『Volume One』は1970年12月、ロンドンでのわずか12時間のセッションで録音された。録音時間が短いぶん、演奏の勢いがそのまま出た作品として語られている。
音の中心にあるのは、東洋的な旋律を含んだギター・ワーク、重いベース、急いだテンポのパーカッションだ。そこにクラリネットが加わる場面もあり、一般的なハード・ロックやブルース・ロックとは少し違う組み立てになっている。
当時はその激しさや不穏さから、「electro-flagellation」と呼ばれたという記録もある。Psychedelic Rock、Hard Rock、Acid Rockの要素が重なった内容で、60年代末から70年代初頭のブリティッシュ・サイケの中でもかなり攻めた作りのアルバムとして扱われている。
『Volume One』は発売当初こそ大きな成功を収めなかったが、のちにコレクターや再評価の流れの中で存在感を強めた。2007年にはCDで再発され、メンバー全員による回顧録を含むライナーノーツも付いたことで、資料としての価値も見直されている。
現在では、70年代ブリティッシュ・サイケの中でも入手しにくい作品のひとつとして知られている。作品数は少ないが、1枚のアルバムで印象を残したバンドとして名前が挙がることが多い。
彼らの背景や1970年前後のヘヴィ・ロックの流れについては、Record Collector Magazineの特集記事でも触れられている。Human Beastを追うと、当時の英国ロックがどこまで音を尖らせていたかが見えやすい。