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The KLFは、ジミー・コーティとビル・ドラモンドによるイギリスの電子音楽デュオだ。コーティはイングランドのデヴォン生まれ、ドラモンドは南アフリカ生まれだが、スコットランドのダンフリース・アンド・ガロウェイ地方で育っている。
活動は1987年に、2人が「The Justified Ancients of Mu Mu(JAMs)」名義でヒップホップ的な作品を作ったところから始まる。翌1988年には「The Timelords」名義で「Doctorin' the Tardis」を発表し、全英チャート1位を獲得した。ここで得た経験をもとに、ヒットチャート1位を取るための手引書『The Manual (How to Have a Number One the Easy Way)』も出版している。
KLF名義では、アシッド・ハウス、テクノ、ブレイクビート、ハウス、レフトフィールド寄りの作風へ移っていく。1988年の「What Time Is Love?」は、初期トランスの先駆けとして扱われることがある楽曲だ。
その後もクラブ・ミュージックの文脈で存在感を強め、1991年にはタミー・ワイネットをフィーチャーした「Justified & Ancient (Stand by the JAMs)」が大きなヒットになった。全英2位、全米11位を記録し、世界18カ国で1位になっている。
The KLFは音楽だけでなく、行動面でも強い印象を残した。エソテリックな小説シリーズ『The Illuminatus! Trilogy』に影響を受けた姿勢を取り、広告看板の改変や、NME誌や一般紙への不可解な広告掲載、番組「Top of the Pops」での独特な演出などを行っている。
特に知られているのが1992年2月のブリット・アワードでのパフォーマンスだ。Extreme Noise Terrorと共演し、空砲を観客席に向けて発射し、アフターパーティでは羊の死骸を投げ込んだ。この場で音楽業界からの離脱を宣言し、同年5月にはカタログ全体を削除した。
その後も、1994年には自らの利益の一部である100万ポンドを燃やすパフォーマンスを行っている。こうした行動は、音楽業界やアートの制度に対する態度として語られることが多い。
2人はKLFの利益を使ってK Foundationを設立し、アートの世界に対しても介入した。最悪のアーティストに贈る賞を作るなど、既存の評価軸を崩すような試みを行っている。
1992年以降、KLF Communicationsのカタログはイギリスでは廃盤のままだったが、2021年1月1日にはストリーミング配信で8曲入りコンピレーション『1988-1991』が公開された。これはデジタル配信での再登場として注目された。
The KLFは『The Manual』を出版し、ロードムービー『The White Room』の制作にも取り組んでいた。音楽作品だけでなく、文章や映像、パフォーマンスを含めて活動の幅が広い。
クラブ・ミュージックの文脈では、初期トランスの楽曲を早い段階で発表した点がよく挙げられる。一方で、チャート志向のポップ作品と、反商業主義的な振る舞いが同居しているところも、このデュオを語るうえで外せない部分だ。
まずは「What Time Is Love?」でKLFのクラブ寄りの感触を確かめて、「Justified & Ancient」でポップ性との接続を見る流れがわかりやすい。そこから『The Manual』や周辺のパフォーマンス史に触れると、単なる電子音楽ユニットではない動き方が見えてくる。
The KLFは、曲そのものだけでなく、発表のしかたや活動の止め方まで含めて記録に残っているデュオだ。電子音楽、チャートポップ、アート、メディアへの介入を行き来しながら動いてきた存在として、今でも参照され続けている。