Vinyl Record Reviews
The Orient Expressは、ヨーロッパ出身のメンバーで結成され、のちにアメリカへ渡ったロック・バンドだ。メンバーはFarshid Golesorkhi、Bruno Giet、Guy Durisの3人で、ジャンルはロック、スタイルとしてはサイケデリック・ロックとフォーク・ロックに位置づけられている。
プロフィールによると、Farshid Golesorkhiはイランで東洋的なリズムを西洋音楽に取り入れることに関心を持っていた人物で、Shahからドラム演奏で表彰を受けた経歴がある。Bruno Gietは左岸で生まれ、その後Farshidと出会った。さらに、ヨーロッパ各地を旅していた途中で、ベルギー人のパイロット兼ギタリストであるGuy Durisとパリで合流した。3人はその後アメリカへ渡り、最初はニューヨークのイースト・ヴィレッジに滞在し、最終的にはカリフォルニアへ移っている。そこでアルバムの録音が行われた。
ウェブ上の情報では、1969年にMainstream Recordsからセルフタイトル作『The Orient Express』がリリースされている。全11曲、収録時間は約35分。確認できる範囲では、このアルバムが唯一の正式リリースで、追加のシングルやアルバムの記録は見当たらない。
The Orient Expressの特徴は、東洋の伝統的な楽器と西洋のロック編成をそのまま組み合わせている点にある。Guy Durisはエレクトリック・ウードとエレクトリック・シタールを担当し、Farshid Golesorkhiはエレクトリック・メロディカ、ダンベク、ティンパニを演奏している。ギターもシタールのような弾き方で使われていると、複数のレビューで触れられている。
海外の音楽ブログでは、このサウンドを「1967年のサンフランシスコ・サイケデリック・ロックのボールルーム・サウンド」と「シド・バレット期のピンク・フロイド」を思わせる要素に、インドや中東的な音使いを重ねたものとして紹介している。また、「アシッド・エスニック・ロック」と「フォーク調のラガ・ミュージック」が重なった作りとしても扱われている。
当時のアメリカ市場では、The Orient Expressの音はかなり異色だったようだ。商業的には広く受け入れられず、サイケデリック・シーンの中でも長く埋もれた存在になっていた。ただ、後年になると、その東西の楽器編成や音の組み立て方が再評価されている。
The Orient Expressは、1960年代末のアメリカ西海岸で録音された1枚のアルバムを通して、東洋の楽器と西洋ロックの接点を記録したバンドだ。活動歴は多く残っていないが、残された作品からはかなりはっきりした個性が見えてくる。