The Slits

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The Slits

The Slitsとは

The Slitsは、1976年にイギリスで結成されたフェミニスト・パンク・バンドだ。初期メンバーにはAri-Up(Ariane Forster、ボーカル)、Katherine Corris(ギター)、Palmolive(Paloma Romero、ドラム)、Suzi Webb(ベース)がいた。その後、Viv Albertineがギター、Tessa Pollittがベースとして加入し、この編成でThe Clashのサポートを務めている。

活動の流れ

バンドは、パンク初期の急速な動きの中で活動を始めたが、当時はレコード契約の獲得に苦戦していたようだ。初期の演奏はJohn Peel Sessionsでも記録されており、そこでの音源はファンの間で高く評価されている。

デビュー作の時点ではPalmoliveが離脱し、Peter Clarkeが参加した。その後、Island Recordsと契約し、レゲエ・プロデューサーのDennis Bovellと組んでアルバム『Cut』を制作している。バンドはその後もシングルを発表し、1981年にいったん解散した。2000年代にはAri-UpがThe Slitsを再始動させ、少人数でのライヴ活動を行っている。

音楽的特徴

The Slitsの音楽は、パンクを土台にしながら、ダブやレゲエの要素を強く取り入れている。演奏面では、技巧を前面に出すよりも、衝動的なリズムや不規則な展開を優先する場面が多い。初期の音源では、攻撃的なギターと荒いテンポ感が目立つ一方で、後期になるとダブ由来の空間処理や低音の扱いがはっきりしてくる。

特に『Cut』は、パンクとレゲエ/ダブを結びつけた作品としてよく語られている。Dennis Bovellの制作もあって、当時のUKパンクの中でもかなり異なる手触りを持つアルバムになっている。

「Typical Girls」と『Cut』

1979年の「Typical Girls」は、The Slitsを代表する曲として知られている。雑誌や商業文化が押し付ける女性像を皮肉まじりに扱った歌詞が特徴で、女性性の決めつけをそのまま受け取らない姿勢がはっきりしている。サウンド面では、パンク、ポップ、レゲエ、ブギウギの要素が混ざっていて、単純なパンク・ソングには収まっていない。

同じく1979年のアルバム『Cut』は、UKアルバムチャートで最高30位を記録している。ジャケットが話題になったことでも知られ、当時のパンク・バンドとしてはかなり強い注目を集めた作品だ。のちにRolling Stone誌の「歴代最高のアルバム500選」に入っている。

影響と評価

The Slitsは、The RaincoatsやX-Ray Spexと並んで、70年代パンクにおける女性の表現を押し広げた存在として扱われることが多い。とくに、女性の見られ方や役割をそのままなぞらず、音楽と態度の両方で崩しにかかった点が重要視されている。

その影響は1990年代のRiot Grrrlムーブメントにもつながっていく。Bikini KillやBratmobileのようなバンドを語るときに、The Slitsが参照されることがあるのはそのためだ。さらに、Nirvanaのカート・コバーンが「Typical Girls」を高く評価したことでも知られている。

メンバーについて

中心人物のAri-Upは、本名をAriane Forsterという。2008年に乳がんの診断を受けたあとも音楽活動を続け、2010年10月にロサンゼルスで48歳で亡くなった。Viv Albertine、Tessa Pollitt、Palmolive、Peter Clarkeらも、The Slitsの活動史を語るうえで重要な名前だ。

聴きどころ

  • 初期音源の荒いテンションと、演奏のぶつかり方
  • 『Cut』でのパンクとダブの接続
  • 「Typical Girls」の歌詞が持つ風刺性
  • 女性バンドとしてではなく、パンクの流れを変えた存在としての立ち位置

The Slitsは、パンクの勢いだけでなく、レゲエやダブを取り込みながら、女性像の扱いそのものに踏み込んだバンドだ。活動期間は長くないが、残した音源と姿勢はその後のパンクやオルタナティブ・ロックにしっかり残っている。

ジャンル・スタイル

Rock Dub New Wave Punk
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