Vinyl Record Reviews
The S.O.S. Bandは、アメリカのR&B/エレクトロ・ファンク・バンドだ。ジャンル表記ではFunk / Soul、スタイルではSoul、Discoが挙がっている。もともとのバンド名は「Santa Monica」だったが、「Take Your Time (Do It Right)」の録音中にSigidi Bashir Abdullahによって「The S.O.S. Band」に改名された。S.O.S.は当初「sounds of success」の意味で使われていた。
フロントを務めたのはメアリー・デイヴィスで、1980年の「Take Your Time (Do It Right)」で注目を集めた。デビュー曲で存在感を示した一方で、続く『Too』(1981年)、『III』(1982年)では、その勢いをそのまま保つところまでは至らなかった。
転機になったのは1983年だ。アルバム『On the Rise』で、当時プリンス率いるザ・タイムのメンバーだったジミー・ジャムとテリー・ルイスをプロデューサーに迎えた。この時期に制作された「Just Be Good to Me」が、1983年3月にタブ・レコードからシングルとして出され、全米R&Bチャート2位、全英ポップチャート13位を記録した。
この曲の制作中、ジミー・ジャムとテリー・ルイスは猛吹雪のためザ・タイムのコンサートに出演できず、外部活動を禁じていたプリンスの怒りを買ってその場で解雇されたとされる。結果として、2人がプロデューサーとして独立するきっかけの一つになった。S.O.S. Bandにとっても、「Just Be Good to Me」は代表曲として現在まで広く知られている。
The S.O.S. Bandの音楽は、R&Bを土台にしたファンクとソウル、そこにディスコやエレクトロの要素が重なる形で整理できる。初期の「Take Your Time (Do It Right)」では、ダンス・ミュージック寄りのリズム感がはっきりしていて、後年の「Just Be Good to Me」では、80年代らしい機械的なビートと歌ものとしてのR&Bの感触が前に出ている。
フロントに立つ歌手が楽曲の輪郭をはっきりさせ、バンド全体はリズムとシンセの組み立てで曲を押していくタイプだ。ソウルとディスコの流れを引きながら、80年代のブラック・ミュージックの制作手法へつながる部分も見える。
資料には、Penny Ford、Jason Bryant、Mary Davis、Bruno Speight、Billy Ellis、John Alexander Simpson、Willie Killebrew、James Earl Jones III、Fredi Grace、Jerome Thomas、Abdul Ra'oof、Chandra Currellyの名前が挙がっている。活動時期によって編成が変わるバンドでもあるので、固定メンバーというより、時期ごとの顔ぶれで見たほうが整理しやすい。
The S.O.S. Bandは、1980年代前半のR&Bとファンクの接点を示すグループとして扱われることが多い。特に「Just Be Good to Me」は、S.O.S. Bandの代表曲であるだけでなく、ジミー・ジャム&テリー・ルイスの制作キャリアの起点にもなった。2人はその後、数多くのヒット作を手がけることになる。
バンドの公式サイトやFacebookページ、Soulwalking、Wikipediaなどでも情報が確認できる。デビュー時の「Take Your Time (Do It Right)」から、1983年の「Just Be Good to Me」までを追うと、S.O.S. Bandが80年代R&Bの流れの中でどう位置づけられるかが見えてくる。