Vinyl Record Reviews
The Temptationsは、1960年にアメリカ・ミシガン州デトロイトで結成されたヴォーカル・グループだ。モータウン・レコードを代表する存在として、1960年代から1970年代にかけて大きな成功を収めた。ソウル、リズム&ブルース、ファンクを軸にしながら、緻密なコーラス、振り付け、派手な衣装でも注目を集めてきた。
結成当初はThe Elgins名義だったが、のちにThe Temptationsへ改名し、1962年にモータウンと契約した。グループの名前を広く知らしめたのが、1965年の「My Girl」だ。スモーキー・ロビンソン作のこの曲で、グループ初のBillboard Hot 100 1位を獲得した。
この時期の特徴は、デヴィッド・ラフィンのざらついたバリトンと、エディ・ケンドリックスの伸びるテナーが対照的に絡む点にある。ここで形づくられた歌声の組み合わせは、その後のThe Temptationsの印象を強く決めていった。
1968年にデヴィッド・ラフィンが脱退すると、グループはデニス・エドワーズを迎えた。ここでプロデューサーのノーマン・ウィットフィールドが前面に出て、音楽性を大きく切り替える。ファンクやロックの要素を取り入れた「サイケデリック・ソウル」路線だ。
この時期には「Cloud Nine」「I Can't Get Next to You」「Psychedelic Shack」などがヒットした。「Cloud Nine」はモータウンとして初のグラミー賞受賞曲として知られる。1972年の「Papa Was a Rollin' Stone」も、社会性のある歌詞と重いサウンドで評価され、グラミー賞を受賞している。
The Temptationsは、活動期間が長いぶんメンバー交代も非常に多い。デヴィッド・ラフィン、デニス・エドワーズ、エディ・ケンドリックス、ポール・ウィリアムズ、リチャード・ストリート、オーティス・ウィリアムズ、メルヴィン・フランクリンなど、多くの名前がグループ史に並ぶ。現在も活動は続いており、オーティス・ウィリアムズは1960年の結成以来、グループに在籍し続けている。
入れ替わりがあっても、コーラスを中心にした構成や、曲ごとに役割を分ける歌唱スタイルは保たれてきた。人員が変わっても、グループとしての輪郭を維持してきた点が特徴的だ。
The Temptationsは、R&Bとソウルの発展に大きく関わったグループとして扱われている。モータウンを代表する存在であり、1989年にはロックの殿堂入りも果たした。ヴォーカル・グループとしての完成度だけでなく、時代に合わせて音楽性を更新してきた点も、長く参照されている理由のひとつだ。
代表曲を追うだけでも、60年代前半のモータウン・サウンドから、70年代のファンク寄りの展開まで、グループの変化が見えてくる。The Temptationsは、ソウルの歴史をたどるうえで外しにくい名前だ。