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The War On Drugsは、2005年にアメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアで結成されたロック・バンドだ。中心人物はアダム・グランデュシエルで、ボーカル、ギターを担当する。結成時から近い関係にあったKurt Vileとともに立ち上げられ、2008年にはデビュー・アルバム『Wagonwheel Blues』を発表した。Vileはこの作品のリリース後に脱退し、ソロ活動に専念している。
現在の活動では、アダム・グランデュシエルを軸に、David Hartley(ベース)、Robbie Bennett(キーボード)、Charlie Hall(ドラム)、Jon Natchez(サクソフォン、キーボード)、Anthony LaMarca(ギター)らが参加している。時期によって関わるメンバーは変わってきたが、制作とライブの両面で複数の演奏者が支える形が特徴になっている。
ジャンルはロック、スタイルはインディー・ロックに分類される。ギターを中心にしたバンド・サウンドに、キーボードやサックスが重なる構成が多く、曲によっては80年代ポップロックを思わせる音の処理も取り入れている。派手な展開よりも、演奏の層を重ねていく作りが目立つ。
歌詞や曲の雰囲気は内省的で、メランコリックな色合いが強い。とくにアダム・グランデュシエルが長い時間をかけて書き上げた2014年の『Lost in the Dream』では、抑うつや孤立感を反映した内容が作品の核になっているとされている。音の広がりと感情の起伏を、直接的すぎない形で組み合わせるのがこのバンドの持ち味だ。
デビュー作『Wagonwheel Blues』のあと、The War On Drugsは徐々に評価を広げていった。大きな転機になったのが2014年の3作目『Lost in the Dream』で、批評家から強い支持を集め、年間ベストアルバムの常連として扱われるようになった。この作品でバンドの名前が一気に広まった印象がある。
続く2017年8月25日発表の『A Deeper Understanding』では、前作とつながるテーマを保ちながら、より明るい音の質感を加えている。80年代ポップロック的な響きが前に出ていて、前作よりも開けた印象を受けるアルバムだ。この作品は第60回グラミー賞で最優秀ロック・アルバム賞を受賞し、バンドにとって初のノミネート、初受賞になった。
The War On Drugsは、批評面での評価と実際の受賞歴の両方を積み上げてきた。『Lost in the Dream』で高い評価を得てから、『A Deeper Understanding』でグラミー賞を受賞した流れを見ると、単発の話題作ではなく、作品ごとに支持を広げてきたバンドとして見えてくる。
グラミー賞の最優秀ロック・アルバム賞では、Queens of the Stone Age『Villains』、Metallica『Hardwired... to Self-Destruct』、Mastodon『Emperor of Sand』といった作品を抑えての受賞だった。ロックの中でも比較的アメリカンなバンド・サウンドを軸にしながら、繊細な音作りで評価を得た点が印象的だ。