Vinyl Record Reviews
Thee Sacred Soulsは、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ出身のソウル・トリオだ。メンバーはSal Samano、Alex Garcia、Josh Laneの3人で、編成はボーカル、ベース、ドラム/ギターというシンプルな形を取っている。ジャンルはFunk / Soul、スタイルとしてはSoul、Rhythm & Bluesに軸足がある。
バンド名の「Thee」は、1960年代のチカーノ・ロック・バンドThee Midnitersへのオマージュとされている。名前の由来からも、彼らが60年代のアメリカ西海岸の音楽文化を意識していることがうかがえる。
グループの始まりは2018年。サンディエゴで出会ったベーシストのSal Samanoと、ドラムとギターを担当するAlex Garciaが、まずインストゥルメンタルのオールディーズ・バンドとして活動を始めたのがきっかけだった。その後、数か月してシンガーのJosh Laneが加わり、2019年4月にThee Sacred Soulsとして正式に動き出した。
結成間もない時期のライブがきっかけで、Daptone Recordsの共同創設者であり、Sharon Jones & The Dap-Kingsのプロデューサーとしても知られるBosco Mann(Gabriel Roth)の目に留まったというエピソードがある。契約後まもなく、彼のリバーサイドのスタジオでレコーディングを始めたとされている。
Thee Sacred Soulsの音楽は、チカーノ・ソウル、ゴスペル、ドゥーワップを土台にしている。そこに、1960年代後半から70年代初頭の「スイート・ソウル」の要素を重ねた作りが特徴だ。派手な音数で押すタイプではなく、歌、ベース、ドラムの役割がはっきりしたアレンジが中心になっている。
制作面では、ヴィンテージ機材やテープ録音へのこだわりも知られている。Daptone / Penrose系の作品らしく、録音方法そのものが音の質感に影響しているのがポイントだ。現代のソウル・リバイバルの流れの中でも、彼らはその文脈にしっかり乗っている。
2020年にリリースされたシングル「Can I Call You Rose?」は、Daptoneの新レーベルPenrose Recordsの第一弾作品になった。この曲で広く名前を知られるようになり、グループの存在感が一気に高まった。
その後、2022年8月にはセルフタイトルのデビュー・アルバム『Thee Sacred Souls』をリリースした。このアルバムは評価が高く、Daptone / Penroseレーベルにおけるソウル・リバイバルの新しい世代として見られるきっかけにもなった。
Thee Sacred Soulsは、60年代から70年代初頭のソウルやR&Bの要素を、現在のバンド編成で再構成しているグループだ。特に、チカーノ・ソウルやドゥーワップの流れを踏まえたうえで、サンディエゴという土地の空気を持ち込んでいる点が目を引く。
Daptone Records周辺のソウル・シーンとつながりながら活動していることも含めて、彼らはレトロな響きをただ再現するだけではなく、その制作姿勢ごと提示している。ライブで注目され、レーベルに発見され、短い期間で録音に入ったという流れも、このバンドの背景として興味深い。