Vinyl Record Reviews
Thelma Houston(セルマ・ヒューストン)は、1946年5月7日生まれのアメリカのソウル/ファンク系シンガー。ミシシッピ州リーランドの出身で、後にカリフォルニア州ロングビーチへ移り、ゴスペル・グループ「Art Reynolds Singers」で活動を始めた。そこからキャリアを広げ、キャピトルとの契約を経てダンヒル・レコードへ移籍している。
ヒューストンの初期キャリアでは、ゴスペルで培った歌唱が大きな土台になっている。1969年には作曲家Jimmy Webbのプロデュースによるアルバム『Sunflower』を発表した。この作品は批評面で高く評価されたが、当時はプロモーションが十分ではなく、広く知られるところまでは届かなかった。
その後、1971年にモータウンと契約する。ウェブ情報によると、1976年までにチャート入りした曲は限られていたが、ここでの活動が後の大きな転機につながっていく。
Thelma Houstonの名前を広く知らしめたのが、「Don't Leave Me This Way」のカヴァーだ。もともとはHarold Melvin & the Blue Notesのアルバム収録曲だったが、モータウンのSuzanne DePasseがこの曲に注目し、プロデューサーHal Davisのもとでヒューストンが録音した。ゴスペル由来の歌い回しを前面に出したこの録音は、ポップ、ソウル、ディスコの各チャートで1位を記録し、国際的なヒットになった。
この楽曲でヒューストンはグラミー賞のBest Female R&B Vocal Performanceを受賞している。プロフィール情報では、代表曲としてこの「Don't Leave Me This Way」が挙げられている。
Thelma Houstonの歌の中心には、ゴスペルで育った表現がある。ウェブ情報でも、彼女の強みはゴスペルで身につけた歌唱にあると整理されている。ソウルのフレーズ運びと、ディスコ期のリズム感を受け止める歌い方が合わさっていて、派手な装飾よりも声の芯が前に出るタイプのシンガーとして聴ける。
ジャンル表記としてはFunk / Soul、スタイルとしてSoulとDiscoが挙がっている。実際の活動歴を見ても、ソウルのアルバム制作からディスコ時代のヒット、さらにゴスペル回帰まで、軸のひとつに教会音楽の感覚が通っている。
80年代にモータウンを離れた後も、ヒューストンはJimmy Webbと再び作品を作っている。90年代には、CeCe PenistonやPhoebe Snowらと組んだゴスペル・スーパーグループ「Sisters Of Glory」に参加した。ここでは、ヒット曲のイメージだけでなく、ルーツに近い音楽へ戻る動きも見せている。
プロフィール情報では、45年以上の活動の中で23枚のスタジオ・アルバムを発表し、今もキャリアを重ねているとされている。