Vinyl Record Reviews
Treesは、1969年から1972年ごろに活動したイングランドのフォーク・ロック・バンドだ。女性ヴォーカルのCelia Humphrisを中心に、Bias Boshell、Barry Clarke、David Costa、Unwin Brown、Barry Lyons、Alun Edenらが参加していた。
バンドは1969年の春ごろにリハーサルを始め、6月から7月にかけて初期のライブやデモ録音を行っている。その後は1969年から1971年にかけて録音とツアーを続け、1972年には短期間だけ再編成して活動した。1969年8月にはCBSと契約している。
Treesが残したスタジオ・アルバムは2作で、どちらも短い間隔で発表された。1作目は1970年4月の『The Garden Of Jane Delawney』、2作目は1971年1月の『On The Shore』だ。どちらもチェルシーのSound Techniquesスタジオで録音され、プロデュースはTony Coxが担当している。
『On The Shore』のカバー・アートは、HipgnosisのStorm Thorgersonが手がけた。作品面では、伝承曲のアレンジと、主にBias Boshellによるオリジナル曲が並んでいる。
Treesは、当時人気だったFairport Conventionと比較されることが多かった。いっぽうで、Treesの演奏はよりサイケデリックで、ジャム的な展開を含む点が特徴として挙げられている。ウェブ上の資料では、後年「アシッド・フォーク」を代表するバンドのひとつとして扱われることも多い。
とくに知られているのが、『On The Shore』収録の「Sally Free And Easy」だ。1958年にCyril Tawneyが書いたフォーク・ソングを、10分近い長さのアレンジに広げた楽曲で、Treesの代表曲として紹介されることが多い。
活動当時のTreesは、商業的には大きな成功を収めていない。予定されていたThe Byrdsのサポート・ツアーも実現しなかったとされ、1971年末にはバンド活動が止まっている。
ただ、21世紀に入ってからはアシッド・フォークのコレクターやリイシュー盤のリスナーの間で再評価が進んでいる。とくに『On The Shore』は、ヴァイナル市場でも注目される盤として扱われている。近年の再発盤も音楽メディアで取り上げられることが増え、以前より広い層に届くようになっている。
1972年には、Celia HumphrisとBarry Clarkeを中心にした第2期Treesが一時的に活動した。ここには元Mr FoxのBarry LyonsやAlun Eden、元JSD BandのChuck Flemingらが加わっているが、正式な音源リリースには至らず、1973年に解散している。
なお、2018年には元メンバーのCostaとBoshellがOn The Shore Bandとして一緒に演奏している。