Vinyl Record Reviews
Underworldは、Rick SmithとKarl Hydeを中心に1987年に結成されたUKの電子音楽ユニットだ。元メンバーにはDarren Emersonがいて、ライブや制作の体制を変えながら活動を続けてきた。ジャンル表記ではElectronicに置かれ、実際のサウンドはTechno、Progressive House、Trance、Downtempoなど複数のダンス・ミュージックをまたいでいる。
Underworldは、前身バンドFreurの解散後にRick SmithとKarl Hydeが始めたプロジェクトとして動き出した。初期の編成では、ギターを軸にしたファンク寄りのポップを2枚のアルバムで展開している。その後、1991年にコアの2人が再び中心となり、よりトラック志向のテクノ的な方向へ移った。このタイミングでDJのDarren Emersonが加わり、以後のUnderworldの輪郭が固まっていく。
Underworldを語るうえで外せないのが「Born Slippy .NUXX」だ。もともとは1995年の「Born Slippy」のB面として出た曲で、当初は大きな注目を集めていなかった。ところが1996年、ダニー・ボイル監督の映画『Trainspotting』に採用され、作品とともに一気に広く知られるようになった。全英シングルチャートでは最高2位を記録している。
この曲は、Underworldの名前をクラブ・シーンの外へ押し広げた楽曲として扱われることが多い。映画との結びつきも強く、90年代後半のアンセムとして定着した。
Underworldの音楽は、Rick Smithの制作とKarl Hydeのヴォーカル/歌詞を軸にしている。ウェブ上の情報では、テクノ、ハウス、アシッド、プログレッシブ・ハウス、ドラムンベース、アンビエントなどを横断的に組み合わせるサウンドが特徴とされている。
1994年の『Dubnobasswithmyheadman』は、DJ Magで「レイヴとロックを錬金術のように融合させた」と評されている。UKダンス・ロックの重要作として、Primal Screamの『Screamadelica』やThe Stone Rosesと並べて語られることもある。
Karl Hydeの歌詞も特徴的だ。一般的な作詞に加えて、耳にした会話や留守電の録音など、見つけた素材を混ぜる方法を取っている。結果として、断片的な言葉が曲のリズムと一緒に流れていく形になっている。
1996年の『Second Toughest in the Infants』は、『Trainspotting』の公開時期と重なってリリースされ、商業的にも成功した作品だ。この時期のUnderworldは、クラブ向けの推進力とアルバム作品としてのまとまりを両立させていた。
その後もメンバー構成を変えながら活動を続け、2000年の『Everything, Everything』の後にDarren Emersonが脱退した。以後はツアーでDarren PriceがDJ dutiesを担い、2005年にはUnderworld Liveの演奏メンバーとして加わっている。
Karl Hydeは、デザイン/映像集団Tomatoの創設メンバーの一人でもある。Underworldのビジュアルや映像表現にもTomatoが関わっていて、音楽だけでなく見せ方の面でも一貫した制作が行われてきた。
2012年のロンドン五輪開会式では、SmithとHydeが音楽監督を務めた。サウンドトラック『Isles of Wonder』では全36曲中11曲を制作している。この開会式の監督もダニー・ボイルで、『Trainspotting』以来のつながりが続いた形だ。同年には、その音響面での仕事によりQアワードの音響革新賞を受賞している。
Underworldは、クラブ・シーンでの機能性とアルバム作品としての構成を行き来しながら、長く活動してきたグループだ。Rick Smithの音作り、Karl Hydeの言葉の置き方、そしてライブ体制の変化が、そのままバンドの歴史になっている。公式サイトやBandcamp、SoundCloud、YouTubeなどでも発信を続けていて、現在もライブ・プロジェクトとしての側面が強い。