Underworld - Dubnobasswithmyheadman (1994)
Underworld『Dubnobasswithmyheadman』について
Underworldの『Dubnobasswithmyheadman』は、1994年にUKのJunior Boy's Ownから出た3作目のアルバムで、いわゆる“新生Underworld”の出発点として語られることが多い作品だ。Rick SmithとKarl Hydeを軸に、Darren Emersonが加わった体制で制作され、以前のソング志向の作風から、クラブ・ミュージックの感覚を前面に出したアルバムへと大きく舵を切っている。電子音楽の流れの中でも、ロックのバンド感とダンス・トラックの推進力が同じ土俵で並ぶ、重要な位置づけの1枚である。
作品の輪郭
このアルバムでは、ハウス、テクノ、ダブ、アンビエントの要素がはっきり見える。とはいえ、単にクラブ向けに寄せた作品というより、曲ごとの構成や展開にバンドとしての手触りが残っているのが特徴だ。ビートは前へ進み続けるが、上に乗る音やフレーズには余白があり、反復の中で細かい変化が積み重なっていく。90年代前半のUKダンス・シーンの空気を背景にしながら、アルバム作品としてまとまりを持たせている点が印象的だ。
リリース元はロンドンのダンス・レーベル、Junior Boy's Own。Made in England表記で、内袋にはアートワーク、歌詞、クレジットが印刷された仕様になっている。オリジナル盤ならではの90年代初頭のUKクラブ・レーベルらしいパッケージ感も、この時代の空気を伝えている。
Underworldにとっての転機
UnderworldはもともとFreur解散後に結成されたユニットで、初期はより歌もの寄りの作品を出していた。その後、1991年以降にRick SmithとKarl Hydeの核を保ちながら、Darren Emersonの加入で方向性が更新される。『Dubnobasswithmyheadman』は、その転換がはっきり形になった作品として見られている。グループの輪郭が現代的なエレクトロニック・アクトとして定まっていく流れの中で、最初の大きな到達点になったアルバムと言えそうだ。
チャート面でも、UKアルバム・チャートで最高12位まで上昇し、Underworldにとって初のUKアルバム・チャート入りとなった。作品としての評価と、アーティストとしての広がりが同時に進んだ時期の記録でもある。
代表曲とアルバムの流れ
収録曲では「Dark & Long」「Cowgirl」「Dirty Epic」あたりがよく知られている。とくに「Cowgirl」は、後のライブでも重要な曲として扱われることが多く、Underworldの反復の作法やビートの置き方がよく出ている。曲単体で強いだけでなく、アルバム全体の流れの中で聴くと、テンポや密度の変化がわかりやすい。派手な展開で押すというより、音の重なりや抜き差しで長く引っ張る構成が目立つ。
この時期のUnderworldは、同時代のUKダンス・アクトの中でも、単なるクラブ専業ではない広がりを持っていた。後年の再評価でも、90年代のUKダンス・アルバムの重要作として取り上げられることが多く、ロックとダンスの境界をまたぐ作品として見られている。のちに「Born Slippy NUXX」が映画『Trainspotting』で大きく知られることになるが、その前段階として、このアルバムがUnderworldの基礎を作ったのははっきりしている。
聴きどころ
実際に聴くと、曲ごとの役割分担がかなり明確だ。ビートが前に出る場面と、空間の広がりを感じさせる場面の切り替えがあり、アルバムの長さを保ちながら単調さを避けている。ベースのうねり、シンセの反復、声の使い方がそれぞれ独立しつつ噛み合っていて、90年代前半のダンス・ミュージックらしい機能性と、アルバム作品としての読み応えが両立している。音の設計が細かく、クラブのフロアで機能する感覚と、自宅で通して聴いたときの流れが両方ある。
『Dubnobasswithmyheadman』は、Underworldが“バンド”としても“ダンス・アクト”としても一段階上がったことを示す作品だ。1994年という年のUKシーンの中でも、電子音楽の側からアルバムという形式を強く押し出した記録として、今もよく参照される1枚である。
トラックリスト
- A1 Dark & Long 7:35
- A2 Mmm Skyscraper I Love You 13:08
- B1 Surfboy 7:33
- B2 Spoonman 7:41
- B3 Tongue 4:49
- C1 Dirty Epic 9:55
- C2 Cowgirl 8:25
- D1 River Of Bass 6:26
- D2 M.E. 7:09