Vinyl Record Reviews
Until Decemberは、1980年代前半から後半にかけて活動したサンフランシスコ拠点のロックバンドだ。ジャンルはElectronic、Rockにまたがり、スタイルとしてはPop RockやSynth-popの要素を持つ。アダム・シャーバーンをフロントマンに、Chuck Frazier、Tim Huthert、Brian Weisberg、Greg Senzerらが名を連ねた。
バンドは、1980年代のダンス志向のロック・シーンの中で存在感を出していた。レザー・サブカルチャー、とくにゲイ/BDSM系のレザー文化圏で強い支持を集めた点も特徴として挙げられる。
Until Decemberはサンフランシスコを拠点に活動し、1980年代を通じて音源制作とライブ活動を進めた。1985年には415レコード/CBSから12インチ・シングルを4枚発表している。翌1986年にはセルフタイトルのアルバムをリリースし、その中から「Heaven」が代表曲として知られている。
ツアーでは、ニュー・オーダー、Gene Loves Jezebel、Specimenといった同時代のバンドと行動をともにした時期があり、自身もヘッドライナーとして全米各地で公演を行っていた。活動後期には編成を5人組に拡大し、ベースに[a30479]、さらに[a254470]出身の[a547829]が2人目のドラマーとして加わっている。
音楽性は、ロックを土台にシンセサイザーを使ったダンス向きのアレンジを組み合わせたものだ。Pop RockやSynth-popの要素が前面に出ていて、1980年代のクラブ・シーンと相性のよい作りになっている。
ウェブ上の情報では、アダム・シャーバーンの存在感が大きく、バンドの印象を左右するフロントマンとして語られている。楽曲面では、ロックバンドらしい演奏に加えて、12インチ・シングルというフォーマットでの展開も含め、当時のダンス・ロックらしい流通と聴かれ方をしていた。
Until Decemberが特に知られているのは、レザー・サブカルチャーとの結びつきだ。妖艶さや挑発性を含んだイメージ戦略と、踊れるロック/シンセポップを組み合わせたことで、一般的なロック・ファン層とは別の場所でも支持を広げていた。
この点は、同時代のニュー・ウェーブやポストパンク周辺のバンドが持っていた文化的な広がりとも重なる。音楽だけでなく、見せ方やコミュニティとの接点がバンドの受け止められ方に影響していた。
バンド解散後、アダム・シャーバーンは1990年代に政治色の強いインダストリアル・バンド、Consolidatedを結成して活動を続けている。Until Decemberで見せていたダンス志向のロックとは異なる方向だが、前面に立つ姿勢やメッセージ性の強さは、その後の活動にもつながっているように見える。
Until Decemberを追うなら、まずは1986年のセルフタイトル・アルバムと「Heaven」から入ると流れがつかみやすい。1985年の12インチ・シングル群も含めて聴くと、ロックとシンセポップ、ダンス感覚のつながりが見えやすい。
1980年代のサンフランシスコ発のバンドとして、当時のクラブ文化やサブカルチャーと近い距離にあったグループを探している人には、チェックしやすい存在だ。