Vinyl Record Reviews
Wishbone Ashは、1969年にイギリス・デヴォンで結成されたロック・バンドだ。初期メンバーは、アンディ・パウエル、テッド・ターナーの2人のリード・ギター、ベースのマーティン・ターナー、ドラムのスティーヴ・アプトンでスタートしている。現在までに、メンバー交代を重ねながら活動を続けてきた。
このバンドでまず触れておきたいのは、アンディ・パウエルとテッド・ターナーによるツイン・リード・ギターの構成だ。2本のリード・ギターがハーモニーを作るスタイルを早い段階で取り入れ、広く知られる形にしていった存在として評価されている。
単にギターを2本並べるのではなく、旋律を分担しながら曲の中で掛け合いを作るやり方が特徴になっている。後のロック・バンドに見られるギター・アレンジの手法にも、この流れが見えている。
結成当初はブルース・ロック寄りの色合いが強かったが、次第に構成の複雑さや曲の展開を重視する方向へ進んだ。1972年のアルバム『Argus』は、その変化を示す作品としてよく挙げられる。
『Argus』は全英アルバムチャートで3位を記録しており、バンドの作品の中では最も高い順位を残している。このアルバムでは、プログレッシブ・ロック、ハード・ロック、フォークの要素が組み合わさっている。
Wishbone Ashの曲は、派手な技巧だけで押し切るタイプではなく、ギター同士の役割分担や曲の流れを重視している。ツイン・リード・ギターの響きが前面に出る場面が多く、そこにバンドの個性がはっきり出ている。
パウエルとターナーが作ったツイン・リード・ギターの手法は、その後のロック・バンドに影響を与えたとされている。シン・リジィ、アイアン・メイデン、レーナード・スキナードなどの名前が挙げられることが多い。
たとえば、ギター同士が旋律を分け合って進む組み立てや、フレーズを重ねて厚みを作るやり方には、Wishbone Ashが早くから示した形式が見える。ロック史の中で、ギター・アレンジの方向を広げたバンドとして扱われている。
長い活動歴の中で、Wishbone Ashには多くのメンバーが参加してきた。アンディ・パウエル、スティーヴ・アプトン、マーティン・ターナーをはじめ、ジョン・ウェットン、トレヴァー・ボルダー、ベン・グランフェルト、ロリー・ワイズフィールド、ボブ・スケイト、レイ・ウェストンなど、さまざまなプレイヤーが名前を連ねている。
メンバーは変わっても、ツイン・リード・ギターを軸にしたバンドの核は保たれてきた。現在も公式サイトやBandcamp、SNSで情報を発信している。
まずはこのアルバムから入るのがわかりやすい。バンドの特徴であるギターのハーモニー、曲の展開、ロックとフォークの混ざり方がまとまっている。
Wishbone Ashは、1969年結成の英国ロック・バンドとして、ツイン・リード・ギターの定着と『Argus』での成果を軸に語られることが多い。派手な看板よりも、演奏の組み立てとギターの役割分担で存在感を残してきたバンドだ。