Daft Punk - Random Access Memories (2013)
Daft Punk『Random Access Memories』2013年盤レビュー
Daft Punkの4作目となるスタジオ・アルバムが『Random Access Memories』だ。2013年にColumbiaから発売され、UK、ヨーロッパ、USでほぼ同時期に展開された。前年までの作品群で強かったサンプリング主体の感触から一歩離れ、生演奏の比重を大きくした点が、このアルバムのいちばんの特徴になっている。Thomas BangalterとGuy-Manuel de Homem-Christoという2人組の作り方が、そのまま作品の輪郭に出た1枚。
制作の方向性と位置づけ
録音は2008年から2012年にかけて、パリのGang Recording Studio、ハリウッドのHenson、Conway、Capitol、ニューヨークのElectric Ladyという複数のスタジオで進められた。セッション・ミュージシャンを大きく起用した制作で、Nile Rodgers、Paul Jackson Jr.、Nathan East、Omar Hakim、John “J.R.” Robinson、Chilly Gonzalesらが参加している。Daft Punkにとっては、クラブ由来の機械的な反復だけに寄らず、70年代ディスコやファンクの手触り、80年代以降のポップの感触まで含めて組み直した作品として読める。
アルバム全体を通して、音の密度は高いが、各曲の役割はかなりはっきりしている。リズムは細かく刻まれ、ベースは前に出る一方で、コード進行やストリングス、ギターのカッティングが曲の温度を決めていく。電子音のアルバムでありながら、演奏の身体感覚が前景にある構成。Daft Punkのキャリアの中では、デュオの匿名性やロボット的なイメージを保ちながら、音楽の参照点をより広く見せた作品でもある。
収録曲と聴きどころ
代表曲としてまず挙がるのが「Get Lucky」だ。Pharrell Williamsの歌とNile Rodgersのギターが前に出るこの曲は、リリース当時から強い反応を集め、全英シングルチャートでは4週連続1位を記録した。軽い足取りのリフが曲全体を引っぱり、アルバムの中でも最も広く届いた1曲になっている。
「Giorgio by Moroder」では、Giorgio Moroder本人が自分の音楽人生を語るモノローグを中心に、時代の変化とディスコ以降の文脈がつながっていく。語りのあとに展開するバンド・サウンドも含めて、アルバムの構造そのものを示すような曲。「Touch」は8分を超える長さで、要素を重ねながら進む中心曲のひとつで、Paul Williamsの歌唱が核になっている。「Lose Yourself to Dance」では、ファンク寄りの反復がより直接的に出て、グルーヴの設計がわかりやすい。
また、Julian Casablancasが参加した「Instant Crush」や、Panda Bearが参加した「Doin’ It Right」も、Daft Punkの持つポップ感覚が別の方向に開いた曲として印象に残る。前者はメロディの切なさが強く、後者は声の処理とビートの抜き差しが目立つ。アルバム後半では、曲ごとの色分けがよりはっきりしていく。
リリース時の反応と受賞
発売当時は、情報の出し方も話題になった。2013年3月の『Saturday Night Live』での短い映像告知、Coachellaでのティーザー映像上映、オーストラリアのWee Waaでの発表イベントなど、断片的な提示が続いた。結果として、アルバム本体の発表前から期待値が高まっていった流れがある。
チャート面では、全英・全米ともにアルバムチャート1位で初登場した。米Billboard 200では初週33.9万枚を売り上げ、Daft Punkにとって初の全米1位となった。批評面でも評価は高く、Metacriticは87点。2014年の第56回グラミー賞では最優秀アルバム、最優秀ダンス/エレクトロニカ・アルバム、最優秀エンジニア・アルバム(ノン・クラシカル)を受賞し、「Get Lucky」も複数部門を取っている。
この2013年プレスについて
この盤は2013年のオリジナル・ファースト・プレスで、Chabによるカッティング盤。ランアウトには全て「Chab.☆」の刻印が入り、D面のランアウトに「-30372-」のスタンプがない点で後年のリプレスと区別される。180g重量盤の2枚組で、ゲートフォールド・ジャケット仕様。12インチサイズの8ページ・ブックレットが付属し、クレジットと全曲歌詞を収録している。シールド品にはダウンロード用のバウチャーも付いていた。
ジャケット表記は、バックカバーにColumbiaとSony Musicのロゴ、背表紙とラベルにはColumbia表記という形。EU盤としてのまとまりがあり、2013年当時のオリジナル仕様をそのまま持つ。Daft Punkのディスコグラフィーの中でも、サウンドの作り方と受け止められ方の両面で大きな転換点になった作品として、今も強い存在感を保っている。
トラックリスト
- A1 Give Life Back To Music 4:35
- A2 The Game Of Love 5:22
- A3 Giorgio By Moroder 9:04
- B1 Within 3:48
- B2 Instant Crush 5:37
- B3 Lose Yourself To Dance 5:53
- C1 Touch 8:18
- C2 Get Lucky 6:09
- C3 Beyond 4:50
- D1 Motherboard 5:41
- D2 Fragments Of Time 4:39
- D3 Doin' It Right 4:11
- D4 Contact 6:23
動画プレイリスト
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Give Life Back to Music
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The Game of Love
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Giorgio by Moroder
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Within
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Instant Crush (feat. Julian Casablancas)
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Lose Yourself to Dance (feat. Pharrell Williams)
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Touch (feat. Paul Williams)
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Get Lucky (feat. Pharrell Williams and Nile Rodgers)
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Beyond
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Motherboard
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Fragments of Time (feat. Todd Edwards)
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Doin' it Right (feat. Panda Bear)
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Contact
このアーティストについて
Daft Punkは、Thomas BangalterとGuy-Manuel de Homem-Christoによるフランスのエレクトロニック・ミュージック・デュオだ。1993年に結成され、ハウス...
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