Daft Punk = ダフト・パンク - Discovery = ディスカバリー (2001)
Daft Punk 2001

Daft Punk = ダフト・パンク - Discovery = ディスカバリー (2001)

Electronic House

Daft Punk『Discovery』日本盤LPについて

Daft Punkの『Discovery』は、2001年に発表された2作目のスタジオ・アルバムで、フレンチ・タッチの代表格として知られる彼らが、ハウスを土台にしながらポップ・ソングの感触を前面に出した重要作である。前作『Homework』の硬質なクラブ志向からはかなり印象が変わり、メロディ、コード感、ヴォーカル処理、サンプリングの使い方まで含めて、アルバム全体が「曲として聴かせる」方向へまとまっている。

作品の位置づけ

Daft PunkはThomas BangalterとGuy-Manuel de Homem-Christoによるフランスのエレクトロニック・デュオで、この時期にはクラブの現場だけでなく、より広いポップ・リスナーに届く表現を明確に打ち出していた。『Discovery』はその転換点にあたる作品で、のちの彼らの評価を決定づけたアルバムとしても見られている。2000年代初頭のダンス・ミュージックの中でも、単なるトラック集ではなく、アルバム単位で構成を感じさせる点が特徴的だ。

実際に聴くと、冒頭の「One More Time」からすでに、反復の気持ちよさと歌ものとしてのわかりやすさが同居しているのが分かる。ロボット的なヴォコーダー処理が前景に出る一方で、フレーズの運びは非常に整理されていて、クラブ向けの長尺感よりも、耳に残るフックの配置が優先されている印象だ。続く「Aerodynamic」や「Digital Love」では、ギター的なフレーズやメロディの組み立てが入ってきて、ハウスの枠に収まりきらない展開になっている。

代表曲とサンプリングの面白さ

このアルバムの代表曲としてまず挙がるのは「One More Time」だろう。世界的なヒット曲として知られ、Daft Punkの名前をクラブ外へ押し広げた中心曲である。「Harder, Better, Faster, Stronger」も重要で、のちにさまざまな文脈で引用されることになる楽曲だ。機械的な言葉の反復が、そのまま身体感覚に結びついていく作りで、当時のエレクトロニック・ミュージックの中でも特に記憶に残るタイプのトラックになっている。

本作はサンプリングの使い方でもよく知られている。Eddie Johns、George Duke、Edwin Birdsong、The Imperials、Barry Manilow、Tavares、Electric Light Orchestra、Rose Royceなど、さまざまな楽曲の断片が曲の骨格に組み込まれている。素材の引用そのものよりも、それらを再構成して別のポップ・ソングとして成立させる編集感覚が聴きどころで、オリジナルの断片を探し当てる楽しみも生まれた作品だ。

日本盤の特徴

今回の盤は2002年リリースの日本盤で、ジャパン・オンリーの限定仕様として出たもの。Virginの品番はTOJP-60114・15で、2枚組LPとして組まれている。リリースノートにある通り、Daft Club membership cardが封入されており、日本のファンに向けたメッセージも入っている。ジャケットには「Japanese cover artwork/Illustration: ©2001 Daft Punk/Leiji Matsumoto」とあり、松本零士のイラストが使われている点も大きい。『Discovery』の視覚面を語るうえで、この日本盤はかなり存在感のある仕様だ。

なお、オリジナルは2001年作だが、この盤は2002年の日本盤リリース。作品としては2001年の『Discovery』を扱うのが自然で、日本盤はその後に加わったローカル仕様という位置づけになる。アルバムそのものの内容は同じでも、封入物やアートワークの見え方で印象が変わるタイプの盤だ。

同時代の文脈

2000年前後のフレンチ・エレクトロニックには、CassiusやAir、Modjoなど、ポップとクラブの距離を詰める動きがあったが、『Discovery』はその中でもアルバム全体の統一感が強い。ハウスの4つ打ちを基盤にしながら、ディスコ、シンセポップ、エレクトロの要素を整理して並べる構成は、当時のダンス・ミュージックの中でもかなり明快だ。後年のエレクトロ・ポップや、ロボット的なヴォーカル処理を前面に出す作品群にも、少なからず影響を与えたと見られている。

また、この時期のDaft Punkは、音楽だけでなく映像や物語性の面でも動いていて、『Interstella 5555』へつながる発想が見えてくる時期でもある。『Discovery』は単独のアルバムであると同時に、彼らの世界観が音と映像の両方で広がっていく起点のひとつとして捉えやすい。

まとめ

『Discovery』は、Daft Punkがクラブ由来のデュオから、ポップ・ミュージックの文脈でも語られる存在へ移っていく過程を示した作品である。日本盤LPは、Daft Clubカードや松本零士のアートワークを含め、オリジナル本編に加えて当時の企画性をそのまま閉じ込めた仕様になっている。ヒット曲の強さ、サンプリングの組み立て、アルバムとしての流れ、そのどれもがこの作品の評価を支えている。

トラックリスト

  1. A1 One More Time = ワン・モア・タイム
  2. A2 Aerodynamic = エアロダイナミック
  3. A3 Digital Love = デジタル・ラブ
  4. B1 Harder, Better, Faster, Stronger = 仕事は終わらない
  5. B2 Crescendolls = クレッシェンドールズ
  6. B3 Nightvision = ナイトビジョン
  7. B4 Superheroes = スーパーヒーロー
  8. C1 High Life = ハイ・ライフ
  9. C2 Something About Us = 愛の絆
  10. C3 Voyager = ボイジャー
  11. C4 Veridis Quo = ヴェリディス・クオ
  12. D1 Short Circuit = ショート・サーキット
  13. D2 Face To Face = 素顔で向き合えば
  14. D3 Too Long = 自由をこの手に

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