Depeche Mode - 101 (1988)
Depeche Mode『101』について
Depeche Modeの『101』は、1988年6月18日にカリフォルニア州パサデナのローズボウルで行われた公演を収めたライヴ作品である。タイトルは、前作『Music for the Masses』期のツアーにおける101本目の、そして最終公演だったことに由来し、同時に会場近くを走るハイウェイ101号線への目配せも含んでいる。Depeche Modeのキャリアの中でも、アリーナ規模からスタジアム規模へ完全に踏み出した瞬間を記録した作品として位置づけられている。
このレコードは1989年リリースのヨーロッパ盤で、レーベルはIndisc、カタログ番号はSTUMM 46101。ジャケットやブックレットを含めたパッケージも含めて、当時のライヴ作品らしい記録性の強い作りになっている。16ページの写真集が付属し、単なる音源集ではなく、ツアーの空気感そのものを残す構成である。
ローズボウル公演の意味
『101』の核にあるのは、1988年のローズボウル公演そのものだ。チケット販売数66,233枚、有料入場者数60,452人、興行収入135万9192.50ドルを記録し、当時の同会場での単独アーティストによる完全ソールドアウトとしても大きな話題を呼んだ。Depeche Modeが英国のニューウェイヴから出発し、80年代後半には北米でも巨大な支持を集めていたことを、数字の面からも裏づける出来事である。
この時期のDepeche Modeは、『Black Celebration』『Music for the Masses』を経て、電子音楽を軸にしながらもロックの規模感を持ち込む方向へ進んでいた。シンセポップの枠に収まりきらない存在感、そしてダンスフロア向けのビートと大観衆をまとめるためのダイナミズム。その両方が、『101』ではかなりはっきり記録されている。
音源としての聴きどころ
収録曲は、当時の代表曲が中心になる。『Never Let Me Down Again』のようなライヴでの高揚がそのまま形になった曲はもちろん、『Behind the Wheel』『Everything Counts』のような曲でも、スタジオ盤とは違う推進力が前に出る。観客の反応が大きく、コーラスやリズムの反復が会場全体に浸透していく流れがはっきり残っている。
実際に聴くと、音の密度は高いのに、演奏の輪郭は比較的見通しがよい。Martin L. Goreの書く楽曲の反復性、Alan Wilderのアレンジ面での支え、Dave Gahanのヴォーカルの押し出し、そしてAndrew Fletcherの存在が、スタジアム用のサイズ感に整理されている。Depeche Modeのライヴ音源は、スタジオ作品の精密さをそのまま拡大したものとして聴こえることが多いが、『101』はその傾向がよく出ている盤である。
映像作品との関係
『101』はライヴ音源だけでなく、同名の映像作品とも強く結びついている。映像版はD.A. PennebakerとChris Hegedusが監督を務め、単なるコンサート記録ではなく、会場へ向かう若いファンたちのロードムービー的な場面も交えた内容になっている。ライブの熱気と、それを追いかける側の視線を同時に映す構成で、Depeche Modeというバンドが当時どれだけ広い層に支持されていたかが見えやすい。
この作品が面白いのは、派手な演出を前面に出すのではなく、観客の熱量とバンドの演奏を中心に据えている点にある。80年代後半の大規模ツアー記録としては、同時代のコンサート映像の中でもかなり具体的な空気を残している。
Depeche Modeの中での位置づけ
Depeche Modeにとって『101』は、単なるライヴアルバムではなく、80年代の上昇曲線をひとつの到達点として刻んだ記録でもある。1981年のデビュー以降、Vince Clarke脱退、Alan Wilder加入を経て、バンドはシンセポップの初期像から、より重心の低いエレクトロニック・ロックへと変化していった。その流れの終着点のひとつが、このローズボウル公演だった。
のちの『Violator』で世界的な成功をさらに広げる前段階としても、『101』は重要である。すでに大きな会場を埋める力を持っていたこと、そして楽曲がライヴでより強く機能するように育っていたことが、この作品でよくわかる。80年代の電子音楽が、クラブやラジオの文脈だけでなく、スタジアムのスケールにも届いていたことを示す一枚でもある。
まとめ
『101』は、Depeche Modeのライヴの強さをそのまま記録した作品であり、1988年のローズボウル公演という特別な一夜を中心に据えたドキュメントでもある。代表曲の輪郭、観客の反応、ツアーの終着点としての緊張感が、そのまま盤に残っている。80年代後半のエレクトロニック・ミュージックがどこまで大きな会場に届いたかを知るうえでも、重要な記録である。
トラックリスト
- A1 Pimpf 0:49
- A2 Behind The Wheel 5:45
- A3 Strangelove 4:45
- A4 Something To Do 3:52
- A5 Blasphemous Rumours 5:20
- B1 Stripped 6:21
- B2 Somebody 4:35
- B3 Things You Said 4:25
- B4 Black Celebration 4:20
- C1 Shake The Disease 5:05
- C2 Pleasure Little Treasure 4:32
- C3 People Are People 4:40
- C4 Question Of Time 4:50
- D1 Never Let Me Down Again 6:28
- D2 Master And Servant 4:20
- D3 Just Can't Get Enough 4:04
- D4 Everything Counts 5:05
動画プレイリスト
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Pimpf (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Behind the Wheel (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Strangelove (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Sacred (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Something to Do (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Blasphemous Rumours (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Stripped (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Somebody (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Things You Said (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Black Celebration (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Shake the Disease (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Nothing (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Pleasure, Little Treasure (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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People Are People (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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A Question of Time (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Never Let Me Down Again (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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A Question of Lust (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Master and Servant (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Just Can't Get Enough (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)
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Everything Counts (Live at Rose Bowl, Pasadena, CA - June 18, 1988)