Ogives Big Band - Boisterous Love (2024)
Ogives Big Band『Boisterous Love』について
ブリストルを拠点に活動する Ogives Big Band が、2024年に発表したデビュー・アルバムが『Boisterous Love』だ。Stolen Body Records からのリリースで、UK盤は300枚限定、ダウンロードカード付き。レーベルがガレージ、サイケ、ノイズ寄りの作品を扱ってきた流れの中でも、この作品はかなり重心の低い一枚として置かれている。
Ogives の出発点は、ギタリスト Ben Harris のソロ宅録プロジェクトだった。2008年頃から始まり、2018年のリリース・ショウをきっかけにフル編成へ移行。その後、アンビエントやノイズ寄りの Ogives と、よりロック、メタル寄りの Ogives Big Band という形に分かれ、2020年に Steve Roberts がボーカルとして加わって現在の4人編成になった。『Boisterous Love』は、その流れの先でまとまった最初の長編作品として位置づけられる。
音の輪郭
収録されているのは全6曲。「Super Sanity」「Chronic Thuggery」「Brandishment」「Annihilation」「Absolute Unit」など、曲名だけでもかなり攻撃的な印象が強い。実際の中身もその印象に沿っていて、スラッジの粘り、ストーナー・ロックの反復、プログレッシブな展開、サイケデリックな処理が、ひとつの演奏の中で行き来する構成になっている。
聴きどころは、単純に重いだけではなく、リフの切り替えやブレイクダウンの置き方に細かな変化があるところだ。曲が進むほど音数が増えるというより、いったん止めてからまた押し込むような作りが目立つ。演奏はきっちり揃いすぎず、少し荒さを残している。その手触りが、整いすぎたプログレとは違う方向の面白さにつながっている。
先行曲として注目された「Super Sanity」
先行曲として扱われた「Super Sanity」は、この作品の性格をわかりやすく示す1曲だ。立ち上がりの重さだけで引っ張るのではなく、途中で展開を切り替えながら、勢いを保ったまま押し切るタイプの曲になっている。リフの密度は高いが、詰め込み一辺倒ではないので、激しさの中に輪郭が残る。
全体を通しても、Ogives Big Band は技巧を前面に出しつつ、演奏の温度を下げていない。レビューで人間味のある演奏感が評価されていたのも、このあたりの手触りに近い。複雑な構成を組んでいても、無機質にならず、むしろバンドの体力や勢いがそのまま残っている。
ブリストルの重音シーンとの接点
ブリストル周辺の重音といえば、ノイズ、ハードコア、サイケ、スラッジが交差する場面が思い浮かぶが、『Boisterous Love』もその文脈の中にある。Melvins の重さ、Mastodon のひねり、Breach 由来の圧のような言及が並んだのも納得できるところで、単に古典的なスラッジをなぞるのではなく、曲の組み立て方に少し変則的な感覚がある。
一方で、過度に知的な方向へ寄せず、ロックとしての押し出しも残している。そこが Ogives Big Band の現在地だろう。もともとの Ogives がアンビエント/ノイズ側に振れているのに対し、この名義ではリフ、ドラム、ボーカルのぶつかり方がはっきり前に出る。バンドとしての輪郭を、より直接的に見せる作品になっている。
作品としての位置づけ
『Boisterous Love』は、Ogives Big Band にとってのデビュー・アルバムであり、これまでのプロジェクトの延長線上にありながら、ひとつの独立した形にまとめた記録でもある。6曲という構成は長すぎず短すぎず、バンドの持つ要素をひと通り提示するのにちょうどいい尺になっている。派手なヒット曲が並ぶタイプではないが、「Super Sanity」のように先に耳へ入る曲はあり、アルバム全体の入口として機能している。
Stolen Body Records らしい、地下の熱量をそのままパッケージしたようなリリースでもある。ブリストルのDIY感覚と、重いギター・バンドとしての攻撃性、その両方が同居した2024年の一枚として覚えておきたい作品だ。
トラックリスト
- A1 /..../....... 0:15
- A2 Super Sanity 4:13
- A3 Chronic Thuggery 6:13
- A4 Brandishment 6:49
- B1 Annihilation 5:35
- B2 Absolute Unit 8:48