The Meters - The Meters (1969)
The Meters『The Meters』(1969)
ニューオーリンズ・ファンクの基礎を作ったバンド、The Metersのデビュー作が、この1969年のセルフタイトル盤である。アレン・トゥーサン周辺の現場で鍛えられた演奏力を、そのままバンド名義のアルバムとして定着させた一枚で、のちにファンク史の出発点として語られることが多い作品だ。レーベルはJosie、型番はJOS 4010。リリース国はUSで、オリジナル盤は1969年のプレスとなる。
バンドの成り立ちと位置づけ
The Metersは1965年にニューオーリンズで結成された。編成はジガブー・モデリストのドラム、ジョージ・ポーター・Jr.のベース、レオ・ノセンテリのギター、アート・ネヴィルのキーボードという4人が中心で、後にシリル・ネヴィルも加わる。アート・ネヴィルの兄弟を含むこの地域性の強い顔ぶれが、そのまま音の輪郭につながっている。彼らはアレン・トゥーサンの仕事を支えるハウス・バンドとして活動しながら、短いインストゥルメンタルを中心に独自のグルーヴを固めていった。
このアルバムは、その初期の到達点にあたる。バンドの名義でまとまった初のLPとして、ニューオーリンズのリズム感と、ソウルやブルースの要素を、過不足のない演奏で提示している。後年の大規模な再評価以前から、踊れるバンドとして強く意識されていたことがうかがえる内容だ。
収録曲と代表曲
この盤で最も知られているのは「Cissy Strut」である。シングルとしても大きく動き、R&Bチャートで4位、Billboard Hot 100で23位を記録した。アルバム全体の中でも、この曲はThe Metersの基本形を端的に示す一曲で、ベース、ドラム、ギター、オルガンがそれぞれ主張しすぎずに噛み合い、リズムの隙間がそのまま曲の推進力になっている。「Sophisticated Cissy」も同年にヒットしており、バンドがデビュー時点で既に全国的な反応を得ていたことがわかる。
収録曲は長尺で押し切るタイプではなく、短い演奏の中に反復と間合いを置く構成が目立つ。実際に聴くと、派手なソロよりも、各パートの入り方と抜け方が印象に残る。ドラムは細かなゴーストノートが前に出すぎず、ベースは低音を埋めるというよりリズムを歩かせる役割に寄る。ギターは和音を鳴らし続けるのではなく、切れのあるフレーズで拍を区切る感じが強い。ニューオーリンズらしい土のついた感触がありながら、演奏そのものはかなり整理されている。
当時の文脈と録音の背景
この時期のニューオーリンズ・ソウル/ファンクは、アレン・トゥーサンの周辺を中心に多くのセッションが動いていた。The Metersもその現場の延長で録音された曲をまとめた形でアルバム化された経緯が知られている。つまり、最初から大作アルバムとして練り上げられたというより、現場で実戦投入されていた演奏が、そのまま作品として結実した側面がある。
同時代のファンクと比べると、Sly and the Family Stoneのような大編成の推進力とは違い、The Metersは少人数で細部を合わせるタイプに見える。James Brown系の強いビート感とも重なる部分はあるが、ニューオーリンズ特有の跳ね方が前面に出ていて、リズムの置き方に独特の余白がある。こうした感触は、後のファンクだけでなく、ヒップホップのサンプリング源として繰り返し参照された理由にもつながっている。
オリジナル盤について
Josieから出た1969年のオリジナル盤は、ランアウト部の(MR)表記で見分けられるものとされる。この版では、ジャケット裏面右上に“Stereo”表記がない点も特徴になっている。のちに同じカタログ番号で再発も行われているため、初回盤を確認する際はこうした細部が手がかりになる。
総評
The Metersの『The Meters』は、デビュー作という枠を超えて、ニューオーリンズ・ファンクの基本形を記録したアルバムとして読める。大きな装飾はなく、曲数や尺で押す作品でもないが、演奏の密度が高く、各曲のリズム設計がはっきりしている。ヒット曲「Cissy Strut」を含むことで入口も明確で、同時にバンドの核にある“間”と“反復”がよくわかる一枚でもある。後年のファンクやサンプル文化へつながる流れを考えるうえでも、外せない初期作だと言える。
トラックリスト
- A1 Cissy Strut 3:00
- A2 Here Comes The Meter Man 2:49
- A3 Cardova 4:30
- A4 Live Wire 2:35
- A5 Art 2:30
- A6 Sophisticated Cissy 2:50
- B1 Ease Back 2:55
- B2 6V6 LA 2:20
- B3 Sehorns Farm 2:25
- B4 Ann 2:40
- B5 Stormy 3:32
- B6 Simple Song 2:56